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「普段の小さなガマン」が人生の成功を大きく左右する

Beer

セルフコントロール能力をつけるには? 

当ブログでよく扱う話題のひとつが「セルフコントロール」。近ごろは「やり抜く力 GRIT(グリット)」もベストセラーになりまして、いよいよセルフコントロールの重要性が認識されてきた感じでしょうか。

 

 

ただ、まだまだよくわからないのが「セルフコントロール能力をつけるにはどうすればいいの?」ってとこ。そのあたりは「やり抜く力」でもさほど述べられてませんからねぇ。

 

 

ってところで、参考になる研究(1)が中国から出ておりました。

 

 



 

 

普段の小さなガマンが人間をわける?

 これは477人の学生を対象にした研究で、まずは全員にスキンパッチテストをして、それぞれのアルコールの強さをチェック。そのうえで、「アルコールに強い酒好き」と「アルコールに弱い酒好き」によりわけたんだそうな。

 

 

なぜこんなことをしたかというと、「アルコールに弱い酒好き」は、普段から「小さなガマン」をくり返している可能性が高いから。生まれつきアルコールに弱い人たちは「もう一杯いきたい!」と思っても耐えるしかないため、セルフコントロールを小出しに使う機会が多くなり、結果として全体的なグリットが向上してるんじゃないの?と研究チームは考えたんですね。

 

 

小さなガマンの効果は別の状況にも波及する

その後、参加者には簡単なサイコロゲームをやってもらったんですが、

 

  • 全員に「最初に1の目が出たら賞金をあげます」と伝える
  • ただし、サイコロで何の目が出たかは自己申告制にする(つまり、自由にズルができる)
  • が、実は室内の監視カメラにより、研究者はどの参加者がズルをしたかをチェックできる

 

ってデザインにしたんですね。参加者が自由にズルができる状況を設定して、果たしてその誘惑に勝てるかどうかを調べたわけですね。

 

 

で、その結果は予想どおりでした。酒に強いグループにくらべて、酒に弱いグループのほうがズルをする確率が格段に低かったんだそうな。つまり、普段から「小さなガマン」を重ねておけば、違う場面でもセルフコントロール能力を発揮しやすくなるのではないか、と。

 

 

小さなガマンのメリットは複利で帰ってくる

研究者いわく、

 

定期的に酒の誘惑に耐えることで、参加者の自分勝手な衝動は消えた。ここからわかるのは、小さくてシンプルな日々の変化により、人の幸福と健康に大きな違いが出るということだ。

 

とのこと。ひとつだけ小さなガマンを積み重ねれば、そのメリットは複利で帰ってくるわけですな。

 

 

こういった現象が起きる理由をざっくり言うと、「未来の自分への信頼感」が生まれるからです。どういうことかというと、

 

  1. 小さなガマンに成功する
  2. 少しずつ「俺は未来の結果をコントロールできるのだ!」って気分が育つ
  3. 未来の自分を大事にするようになる
  4. セルフコントロールが効く!

 

みたいな流れ。このあたりのメカニズムについては「結局『意志力が強い』ってどういうこと?」でくわしく説明してますんで、あわせてご参照ください。

 

 

ここで大事なのは、あくまで「小さなガマン」を選ぶとこ。「毎日同じ時間に歩く」でも「午後からのお菓子は厳禁」でもなんでもいいんですけど、だいたい8割ぐらいの確率で成功しそうな誘惑を設定しとくとよいかと思います。どうぞよしなに。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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