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若々しい脳を保つためにもっとも大事なのが、実は「聴力」だった件

Ear

 脳へのダメージがデカい9要素とは?
脳を衰えさせないために最重要な9つのポイントがわかったよ!」って論文(1)がランセットに出ておりました。


これはロンドン大学が主導でアンチエイジングのエキスパート24名を集め、過去に出た数100の論文をレビューしていったもの。そのうえで、もっとも脳へのダメージがデカい要素を9つに絞り込んだんですね。


実は「聴力低下」のダメージが一番デカい
で、まず結論から並べていくと、

  • 聴力の低下
  • 中学校卒業レベルの学力がない
  • タバコ
  • 鬱病
  • 孤独
  • 肥満
  • 高血圧
  • 運動不足
  • 糖尿病

の9つが脳を老けさせる要因のトップ9だそうな。


タバコや運動不足などが良くないのは予想どおりでしょうが、ここで個人的に驚いたのが「もっとも脳に悪いのは聴力の低下だ!」って結論が出てるところ。具体的には、認知症が発症する理由のうち9.1%は聴力の低下が原因なんだそうな。


続いて脳によくないのが「中卒レベル以下の学力」で7.5%、3番手が「タバコ」の5%、その後は「鬱病」4%、「運動不足」3%、「孤独」2%、「肥満」「糖尿病」1%の順になっております。タバコより聴力低下の影響がデカいってのは驚きだなぁ。


耳が悪くなると対人コミュニーケーションが減る
なぜ聴力がここまで重要かと言いますと、

脳の機能を保つには、積極的に脳を働かせねばならない環境が必要だ。なにかを考えたり、誰かの話を聞いたり、その話に適切にリアクションを行う。そのような、認知に負荷をかける作業を行わねばならない。

とのこと。脳を鍛えるには他人とのコミュニーケーションが欠かせず、そのためにもっとも必要なのは聴力なんだ、と。ボケて耳が遠くなるんじゃなくて、耳が遠くなるからボケるわけですな。


さらに耳が悪くなると、

  1. コミュニーケーションがめんどうになる
  2. 他人との関わりを避けて孤独になる
  3. 鬱病の発生!

といった悪循環にハマっていくのも問題っぽい。聴力が衰えるだけで、なしくずしに脳機能が低下する可能性が15%も上がっちゃうことになりますね。


脳を保護する方法 
そんなわけで、ざっくり脳を保護する方法をまとめると、

  • なんだかんだで他人とのコミュニーケーションが最高の脳トレだと心得る
  • 他人と関わるために普段から耳の保護を心がける
  • 中学レベルの最低限の教養はゲットしておく
  • あとは一般的に「健康にいい」と言われることをやっとけばOK

って感じですかね。ただ、データを見てますと、すべての条件をクリアした場合でも約35%ぐらいしか脳の劣化リスクは避けられないって結論も出てますんで、そのあたりもご留意ください。


残念ながら、残りの65%は遺伝や環境が支配していて、自分ではコントロールできないんだそうな。癌と同じく認知症にも不運の要素が大きいってことですねー。


まぁ不運の問題ばかりは悩んでても仕方ないんで、あとは自分で管理できるとこを押さえていくしかないですねぇ。とりあえず、年を取っても対人コミュニーケーションだけは続けねば…。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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