このブログを検索




低反発?羽毛?いったい最強の枕はどれなのか?問題

Pillow 

  最強の枕は存在するのか?

枕に関するご質問をいただきました。

 

鈴木さんはどんな枕をお使いですか?枕は睡眠に関係がありそうですが、ベストの枕というのは科学的にわかっているのでしょうか?気になります!

 

とのこと。確かに「最強の枕はどれか?」ってのは気になるテーマですもんね。

 

 

ただまぁ、結論から言っちゃうと「そのへんはまだよくわからん」ってのが正直なところです。マットレスもそうでしたが、意外と寝具の研究って進んでないんで、なんとも言えないんですよねぇ。その意味では、現時点で「科学が証明した最高の枕」とか謳ってるような商品はすべて眉唾物とも言えるわけですが。

 



低反発枕は意外と成績が悪かったり

で、いまんとこどのようなデータがあるかと言いますと、以下のような感じ。

 

 

1.ラテックス枕が勝ったケース

まずは106人に調査を行った2009年の実験(1)。おもに横を向いて眠る人だけを対象にしていて、

 

  1. 羽毛枕
  2. 低反発枕
  3. 高反発のラテックス枕

 

 の3種類を使ってもらったうえで、主観的な眠りの質や首の痛みなどを採点してもらっております。

 

 

 その結果は、ラテックス枕の勝利。高反発な枕のほうが首の痛みが格段に少なく、いっぽうで残り2つにはたいした改善がみられなかったんだそうな。低反発枕に意味がなかったのはちょっと驚きですねぇ。

 

 

ちなみに、ラテックス枕ってのは↓こんな感じのやつ。固くて重いので頭が無闇に沈まないようになっております。

 

 

 

2.オーソペディック枕が勝ったケース

もうひとつは、2014年に慶尚大学校が行った実験(2)。こちらは20人の男女が対象で、

 

  1. 羽毛枕
  2. 低反発枕
  3. オーソペディック枕

 

 の3種類をチェックしております。オーソペディック枕ってのは直訳すると「整形外科的枕」でして、整形外科的に正しい睡眠姿勢のガイドラインを守ったデザインになっている商品のこと。具体例は↓こんな感じです。

 

 

だいたい頭を乗せる部分が沈んで、首が高くなるようなデザインになってますね。高級枕にありがちな形状と言いますか。

 

 

で、この実験の結果はオーソペディック枕の勝利。枕の温度、快適さ、脊柱への影響の3点において、他の2つを大きく上回ったそうな。

 

 

また、この実験でも羽毛枕が最低の成績をたたき出していて、ホテルにあるようなフカフカ系の枕は、意外とよろしくないっぽい。

 

 

3.枕の高さはどれが最強か?問題

最後に、直近でおもしろいのが2015年にサンパウロ大学が行った実験(3)。21名の男女を対象に、「枕の高さで睡眠の質はどう変わるか?」を確かめたんですな。

 

 

具体的には、

 

  1. 5センチ
  2. 10センチ
  3. 14センチ

 

の枕を使っていて、素材はどれも低反発系を採用したみたい。そのうえで、全員の主観と筋電図計で眠りの質を採点したところ、10センチの枕が最強!って結論だったんですな。

 

 

 といっても、これは必ずしも10センチがベストって話じゃなくて、あくまで「自分の背骨がまっすぐなラインになる高さを選ぼうね!」って話なんでご注意ください。その点では、頭のデカさなんかでも最適な高さは変わってきそう。

 

 

暫定的なまとめ

そんなわけで、くり返しになりますが、全体的にはサンプル数が少ないうえにデザインもいまいちな実験が多いんで、「これが最高の枕だ!」とは言えないところです。以上のデータから現時点で言えるのは、

 

  • 枕がヒトの睡眠を左右するのは間違いない

 

  • フカフカな羽毛枕は避けた方がよさげで、低反発枕も意外と無意味かも

 

  • 素材はラバー系の固めなものがいいかも

 

  • 枕の高さは、横向きに寝たときに頭と背骨がまっすぐなるぐらいのがベスト

 

ってとこでしょうか。とりあえずいろんなものを試すしかなさそうですねぇ。

 

 

また、上記のポイントを除いて、多くの睡眠学者の意見がそろってるのは「枕は最低でも2年おきに取り替えるべし!」ってとこだったりします(4)。その意味では、あんま高価な枕にこだわらず、安い枕をこまめに買い換えながら自分に合った商品を探していくのがいいかも。

 

 

ちなみに私の場合は、いろいろ試してみたあげく「モリシタ そば殻枕」という安い商品に落ち着いてしまいました。なんだか、これを使ったときがもっとも睡眠の質があがったもので。

 

ただし、あらためて今回のデータを見てると、「要は首さえホールドしてりゃいいんじゃない?」って気もしてきましたんで、もうちょいしたら、以下のようなネックピローに切り替えてみるかもしれません。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM