運動で腸内環境を改善するための最適な運動量とは?
エクササイズで腸内環境は改善できるか?
「腸内環境は死ぬほど大事!」 と何度も書いている当ブログ。なんせ腸と脳はつながってるんで、お腹が悪くなれば食欲は暴走し、メンタルはやられ、最後は無気力状態に進む可能性もあったりします。
そんなわけで、基本的な改善法は「腸内フローラ改善のための8ステップ」をご参照いただければと思うわけですが、ここんとこ「お腹の調子に欠かせないんじゃない?」と考えられてるのがエクササイズであります。
以前も書いたとおり、適度なエクササイズが腸内環境を改善してくれる可能性はかなり高く、そこそこの証拠も出はじめているところです。そのいっぽうで、まだ謎な部分も多くて、どんだけの効果があるの?とかどんだけ動けばいいの?ってとこはよくわかってなかったんですよね。
肥満の人ほど腸内環境は壊れがち
そんな状況下、「エクササイズで腸内環境は改善するか?」をちゃんと調べた良いデータ(1)が出ておりました。
これはイリノイ大学の実験で、
- 引き締まった体型の男女19人
- 肥満体型の男女14人
を対象にしたもの。なんで体型が違う参加者を集めたかというと、肥満の人ほど腸内環境が荒れているケースが多いからです。ならば、体型の違いによってエクササイズの効果も変わるんじゃないか、と考えたわけですな。
軽い運動を週に3回するだけでOK
実験期間は6週間で、全員には以下のようなエクササイズを申し付けております。
- 最大心拍数の60〜75%の辛さの運動を、1日30〜60分ずつ、週に3回のペースで行う
ってことで、だいたい早歩きからジョギングぐらいの運動を、週に90〜180分こなしたみたい。一般的に「健康になる最低の運動ライン」と呼ばれる数字に近いですな。
そこでどんな差が出たかといいますと、まずはグラフからどーぞ。グラフAは筋肉量の変化で、グラフBが体脂肪の変化。グレーのバーが「引き締まった体型」グループで、黒が「肥満体型」グループ。「E6」はエクササイズをやってた時期の変化で、「W6」はエクササイズを止めた後の変化です。
さて、ここからざっくりした話をまとめると、
- 週に90〜180分の軽い運動で腸内フローラはハッキリと増える
- 腸内フローラが多様になるほど、体脂肪が減りやすい傾向があった
- 肥満体型の人よりも、引き締まった体型のほうが、エクササイズで腸内フローラが増えやすい
- 普段どんな食事をしていても、エクササイズさえすれば腸内フローラはある程度増える
- ただし、どちらのグループも、エクササイズを止めた途端に腸内フローラは減り始めた
って感じですね。エクササイズさえすれば食事とは関係なく腸内フローラが増えるってのはおもしろいっすねぇ(もちろん普段から食物繊維を摂っておいたほうがいいでしょうけど)。
エクササイズで短鎖脂肪酸が増えるのがナイス
あと、肥満の人のほうが、エクササイズによる腸内フローラの改善効果が出にくいってのは意外。データを見てると、明らかに引き締まった体型の人のほうが「短鎖脂肪酸」も出てるんですよねぇ。
ちなみに、短鎖脂肪酸ってのは、食物繊維を腸内細菌が分解した際にできる物質で、食欲を抑えてくれるかもしれなかったり、腸壁を癒やしてリーキーガットを改善する働きもあったりします。こいつが1日30分の軽い運動を週3やるだけで増やせるってのは非常にいい話じゃないでしょうか。
そんなわけで、腸内環境を癒やしたい方々におかれましては、食物繊維と良質な睡眠という二大要素を押さえたうえで、週3の軽い運動を取り入れていただければと思います。この時、あまりハードな運動をしちゃうと逆に腸内には悪影響なんで、あくまで自分が楽しくできるレベルを守っていただければ幸い。