卵は心臓に悪いどころか逆に心疾患で死ぬリスクを18%も下げるかも!?という中国の観察研究の話
いまも昔も賛否が多い食材といえば「卵」であります。なんせ卵はハイコレステロールな食べ物なんで「心臓に悪いんじゃないの?」って気分になるいっぽうで、良質なタンパク質は豊富だし、ビタミンやカロテノイドも入ってるしで、非常に優秀な食材なのも間違いないんですよね。
で、新しいデータ(1)では「卵と心疾患リスクはどうなるのよ?」って問題を調べてくれておりました。飽和脂肪酸が多い卵を食べると、心臓病になったり脳梗塞になったりするのでは?って問題ですね。
これは北京大学の研究で、30〜79歳の男女50万人を対象にした観察研究になってます。
どんな研究デザインかと言いますと、
- 2004〜2008年のあいだに参加者を集める
- みんなの卵の消費量を聞く
- 平均8.9年かけてみんなの健康状態の変化を追う
って感じです。その結果、期間中に約8万件の心疾患が確認され、そのうち約1万人が死亡したとのこと。このデータと卵の消費量をくらべたわけですな。
そこでどんな傾向が確認されたかと言いますと、
- ほとんど卵を食べない人にくらべて、1日1個の卵を食べる人は心疾患のリスクが下がる!
だったそうな。具体的には、1日1個の卵を食べる人は、
- 脳卒中リスクが26%下がる!
- 脳卒中の死亡リスクが28%下がる!
- 心疾患による死亡リスクが18%下がる!
のような傾向が出てたりするんですな。心疾患といえば日本人の死因の第2位ですんで、リスクが18%も下がるってのはなかなかのもんじゃないでしょうか。
ちなみに、この研究で心疾患リスクが低下した人たちは平均で1週間に5.32個の卵を食べてまして、それ以上を食べたら果たしてどうなるかはこれだけだと不明。観察研究につき「卵を食べれば心疾患が下がる!」とは言えないし、中国の結果を日本に当てはめていいのかわからないのも言わずもがなではあります。
さらにデータを細かく見れば、
- 卵を食べない人には……
- 喫煙者が多い(理由は不明)
- 低所得者層が多い
みたいな傾向もありまして、これらの影響を省くのも難しそうな感じがいたします。なので、とりあえずこのデータは「やっぱ卵って毎日食べても問題なくない?」ぐらいの判断に利用するのがいいかなーと思う次第。個人的には今後も卵はメインの食材として愛用していくつもりであります。