座りすぎは寿命が縮む!ではデスクワークで命を削らないためにはどうすればいいの?というメタ分析
座りっぱなしが体に悪いってのは常識になりつつありまして、
みたいな結果が出てたりします。もちろん観察研究がメインなんでハッキリとは言えないものの、どうも座り仕事はよろしくないみたいなんですな。
その対策としてはイギリス政府が「とりあえずスタンディングデスクを!」みたいな対策ガイドラインを出してたり、過去のメタ分析では「1日に60〜75分の運動をすれば死亡率が下がるかも!」といった話が出てたんですが、いかんせんどれも難易度が高かったのが難点。
私のように自宅作業がメインならまだしも、会社勤めの方だとスタンディングデスクは使えないし、1日1時間の運動ってのもハードルが高いですからねぇ。
が、近ごろ、そんな方にもちょっと安心な論文(1)が出ておりました。
これはプリンスエドワード大学などの研究で、過去に行われた「座り時間」のデータから、質が高い44件をまとめた内容になっております。みんな大好きメタ分析になってまして、参考になるところが非常に多いかと思います。
研究者いわく、
ほとんどの人は、1日の75%を座ってすごし、まったく体を動かさない。この不摂生は糖尿病、心疾患、癌など、あらゆる病気の原因となる。
とのこと。まぁ「なんでそこまで座りすぎが良くないの?」って問題は解決してないんですが、一説には代謝が悪化するからじゃないかと考えられております。
というのも、座りっぱなしで足を動かさないと、
- インスリン抵抗性が悪化する(糖尿病リスクの増加)
- 血中の中性脂肪が増加する
みたいな現象が起きるのはほぼ間違いないとこなんですな。では、この代謝への悪影響を最小限に減らすにはどうすればいいの?ってのがこの論文のテーマだったりします。
では、大量のデータをまとめて何がわかったかと言いますと、
- 30分ごとに2分だけ立ち上がって軽く体を動かせば、食後9時間まで血中のインスリンやグルコースの量は低下する!
- ついでに、血中の中性脂肪については、食後12〜16時間まで低下し続ける!
だったそうです。とにかく、ぶっ続けで座り続けるんじゃなくて、30分ごとに軽いストレッチをしたり、ちょっと散歩をするだけでも体内の代謝は格段に改善するらしい。これはかなーり楽なラインじゃないでしょうか。
しかも、さらに興味深い結果としては、
- 運動の内容や強度はまったく関係ないっぽい
- 年齢が高齢でも、肥満の人でも同じように効果を得られる
- その日にどんな食事をとったかも関係ない
って傾向があったのもナイスなポイント。どんな人だろうが、30分ごとに2分だけ体を動かせば、それだけでも健康レベルにはかなりの違いが出てくるわけですな。
もっとも、この研究では血圧などのデータはチェックしてないんで、果たして今回のテクニックで総死亡率がどこまで下がるかはちょっとわからないとこではあります。
さらに上を目指すなら、前回のメタ分析で示された「1日60分の軽い運動」ってのが目安になるんでしょうが、「そこまではちょっと……」という方は、とりあえず30分おきにタイマーをセットして、軽く立ち上がってみるのが良さげです。どうぞよしなに。