オメガ3のサプリで不安が減るんじゃない?はどこまで本当なのかのメタ分析
「最高の体調」では「不安が人間の体調を悪化させるのだ!」みたいな話を書いております。ネガティブな感情ってのは体内に炎症を起こす作用があるんで、いつも不安を抱えてるとジワジワと調子が悪くなってくんですな。
ってことで、不安対策はアンチエイジングにも大事なんですけど、ここでたまに聞くのが「オメガ3のサプリで不安が減るんじゃない?」みたいな話です。血液のサラサラ効果でおなじみのフィッシュオイルが、メンタルにも効くのではないか、と。
具体的にどのようなメカニズムになってるかと言うと、
- オメガ3には抗炎症効果がある
- ゆえに、オメガ3を飲むと脳の炎症が鎮まる
- 脳の働きが正常化
- 不安が減る!
みたいな流れになっております。近年じゃ「メンタルの悪化は全身の炎症が原因だ!」って考え方も多いですし、実際に「オメガ3で不安が減った!」って報告もいくつかあったりとかするんですよ(R,R)。
で、近ごろ「本当にオメガ3で不安が減るかガッツリ調べたぞ!」って論文(R)が出まして、なかなか精度の高い結論を導いてくれております。
これは中国医薬大学などの研究で、オメガ3と不安について調べた過去データから19件をまとめたメタ分析です。そのうち15件はダブルブラインドのRCTで、
- 実験期間は3〜26週間(中央値は12週間)
- 1日225〜3400mgのオメガ3を飲む
- 効果量はHedge’s gを使用
みたいになってます。オメガ3と不安について調べたデータとしては最良の内容だと言えましょう。
さて、その結果がどうだったかと言いますと、
- オメガ3で不安は減る!(効果量0.374)
ってのが大きな結論になります。効果量は0.2が「小程度」で0.5が「中程度」って感じなんで、「まぁ現実の不安対策に使えなくもないかなー」ぐらいのレベルっすね。
ただし、サブグループ分析を見ると、いろいろと注意点がありまして、
- 医者で診断が出たレベルの不安じゃないと意味がない
- 1日の用量は2000mg以上じゃないと意味がない
- EPAとDHAの比率が0.6以下じゃないと意味がない
- あと効果の個人差もかなりデカい
なんて結果も出ております。「なんか不安になりがちだなー」ぐらいのレベルじゃご利益はなくて、ちゃんとお医者さんから診断が出るぐらいのメンタル低下にしか変化は出ないわけっすね。
研究チームいわく、
コンセンサスを得るためにはさらなる臨床試験が必要だがし、抗うつ薬やサイコセラピーといった標準治療の結果がおもわしくない場合には、オメガ3は安全な代替療法として確実に効果がある。
とのこと。そんなわけで、かなり重度の不安に悩んでいる人じゃないと、オメガ3を飲む意義はなさそう。私も不安傾向ではありますが診断が出るレベルじゃないんで、メンタルの改善目当てで飲むのはやめときます。
もし「ちょっと飲んでみようかな……」という方は1日1gからスタートして様子をみていただければと思いますが、前にも書いたとおりオメガ3サプリは質が悪いものが多いのでご注意ください。いちおう「使ってもよさげなオメガ3サプリ」もあるんですけど、判断が難しいとこなんですよねぇ。