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今週半ばの小ネタ:孤独感の対策、全粒粉と生理の不快、聴覚保護とノイキャン

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

孤独感は本当に激増しているのか?そして、孤独感に立ち向かうには何が必要か?
孤独は体に悪い」ってのが近年の風潮なわけですが、新たに「孤独感は本当に激増してるの?」みたいな研究(R)が出ておりました(アメリカの調査ですが)。


これはアメリカの国民調査を使ったもので、1920s、30s、40s、50s、60sの各時代に生まれた人たちを対象にしております。具体的には、全員に孤独感、健康レベル、教育レベル、友人の量、家族との親密さについて尋ねたうえで、すべての相関をチェックしたら、こんな傾向が確認されました。

多くの人々は、50歳から74歳の間に孤独感が減っていた。おそらく、50歳から74歳の間で、教育、医療、社会的関係のレベルが前世代よりも良好だったために、自然と孤独感が改善されたのかもしれない。

ってことで、10年前と比べて高齢者が孤独になっているという証拠は見つからず、社会環境が改善したおかげで孤独感は下がる傾向があったらしい。


ちなみに、この傾向は別の研究(R)でも確認されていて、1908年から1957年の間に生まれた4800人近いオランダ人を調べたところ、やはり後の世代に生まれた高齢者ほど孤独感が低かったそうな。

現代では孤独感が蔓延している言われるが、必ずしもそうではないことを確認した。たとえば、ジムに行くなどの目標を設定したりすることで人生を自分でコントロールしていると感じられている高齢者ほど孤独感が少ない傾向があった。

ここ数十年では、近所や教会、親戚などの伝統的なコミュニティが力を失ったため、人々は今まで以上に社会生活をうまく管理しなければならない。そのため、現代の高齢者は、満足のいく関係を維持し、問題解決と目標設定のスキルを養う必要がある。

とのことで、若い人はまだよくわからんですが、とりあえず高齢者については孤独感が増加しているという証拠はないし、意識して「人生のコントロール感」を高められる人ならこの問題に打ち勝つことも可能ではないのか?ってことですね。ここらへんは若い人も大事なポイントなので、覚えておきたいところです。



全粒穀物が生理前の不調をやわらげる!
全粒穀物が生理前の不調をやわらげる!というデータ(R)が出ておりました。なんでも、食パンを全粒粉のパンに、白米を玄米に変えると、生理前のイライラ、痛み、不眠といった、その他の問題が改善されるというんですな。


これは月経前症候群と診断された100人の看護師を対象にした研究で、

  1. 一部の参加者に精製炭水化物を減量と全粒穀物の増量を指示
  2. 月経前に感情と身体の不快が改善されるかを調べる

みたいなデザインでチェックを行なったところ、全粒穀物を増やしたほうが格段に症状がゆるやかになったんだそうな。


そのメカニズムはまだはっきりはしてないものの、

  • 精製された炭水化物が炎症を誘発し、栄養不足や血糖バランスの崩壊、エストロゲンの急激な低下に対する感受性の変化をもたらすから?

  • 逆に全粒穀物は炎症をコントロールし、有益な栄養素(マグネシウムや亜鉛など)の摂取量を増やし、血糖を安定させるから?

みたいになってます。もちろん、これらの結果を確認するにはさらなる調査が必要なんだけど、どうにも生理前の不調が辛い方はお試しいただくのもアリかと思われます。



WHOが聴覚保護のためにノイキャンを推奨してる件
最近は良いノイズキャンセリングのイヤホンやヘッドホンが次々に出てまして、いよいよ一般的なアイテムになりそうだなーとか思ってるわけです。


個人的には、ノイキャンは集中力アップのために使ってるんですけど、「WHOが聴覚を守るためにも使おうぜ!」ってアナウンス(R)を出していて参考になります。ご存じのように聴覚はQOLのアップに関連する重要なポイントで、最近では「脳の機能を高く保つためにも大事だよ!」などと言われてたりします。聞く能力がおとろえると、どうしてもコミュニケーションがめんどうになっちゃんで、脳が上手く働かなくなりやすいんですよ。


そんなわけでWHOいわく、

個々のユーザーにフィットしたイヤホンやヘッドフォン、できればノイズキャンセリングを使おう。個人にフィットしたイヤホンやヘッドホンは、低音量で音楽をはっきりと聞くことができるし、ノイズキャンセリングは周囲の騒音を抑え、より低い音量で音楽を聞くことができる。たとえば、電車や飛行機の中でオーディオデバイスを頻繁に使う人は、ノイズキャンセリングを検討すべきだ。

とのこと。ボリューム高めで音楽を聴くことが多いと、ライブ並に耳へのダメージがあるらしいので、これは気をつけておきたいところですなぁ……。


また、その他の対策としては、

  • バーやクラブなどでは耳栓をつけておけば、かなりのとこまでダメージは減らせる
  • 音楽を聴くときは、最大ボリュームの60%を超えないように気を付ける
  • 定期的に静かな場所で耳を休める習慣をつける

といったあたりが推奨されておりました。なんせ騒音による聴覚の低下は復元ができないんで、くれぐれも気をつけてくださいませ。















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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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