このブログを検索

今週末の小ネタ(新型コロナエディション):新型コロナのメンタル問題、家庭内の感染リスク、嘘問題など

 

新型コロナに関する話を不定期にまとめてましたが、またいくつか知見がたまったので新たにピックアップしときます。

 

 

新型コロナのメンタル問題をどうするか?

新型コロナによるストレスが世界中で問題になりつつあるのは、ちょっと前にも書いた話。この問題はどうすればいいのか?ってことで、復旦大学などのチームが簡単なレビューをまとめてくれておりました(R)。

 

 

そのポイントを抜き出すと、こんな感じになります。

 

  • 新型コロナによるメンタル問題は、もちろん自粛によるストレスも大きいんだけど、感染の症状によるところも大きい。これは、ウイルスが前脳の嗅球を介してウイルスが脳に侵入しているからなのかもしれない(嗅球は脳のいろんな領域につながってる)

 

  • また、新型コロナによる炎症や脳の血液供給が減るのも、メンタルが低下する原因なのかもしれない

 

  • でも、脳はビックリするぐらい簡単に変化する器官なので、対策はいろいろある!例えば、運動とかマインドフルネスのトレーニングなんかいいよ!マインドフルネスをやると、脳の前頭前野、海馬、扁桃体の機能が高まるし

 

  • あと、ゲーム化された認知トレーニングなんかも、注意力、記憶機能、モチベーションの向上にも役立つからいいかもね!

 

  • 簡単なところでは、アクティビティトラッカーで心拍数や睡眠パターンなどをモニターして、瞑想や運動、睡眠時間を改善するのがいいよ!

 

ってことで、個人的にはウイルスと嗅球の関係が「へー」って感じでした。確かに嗅球はドーパミンやセロトニンなんかとも関係があるんで、ここを経由して脳に影響を与えてるって可能性はあるのかもしれません。とりあえず、運動とマインドフルネスで脳トレしとくのが良さそうっすねー。

 

 

家庭内で感染が起きる確率は意外と低いみたいよ

新型コロナはどう感染するのか?って話は深掘りしてくとかなり難しくて、「飛沫がダメなのはわかるけど、空気感染とかあるのかなぁ?どうなのかなぁ?」みたいな感じなのが現状ではあります。まぁインフルエンザですらまだ全容は分かってないので、仕方ないんですけど。

 

 

ってところでフロリダ大学のチームが「新型コロナがひとつの家庭内で感染する可能性はどれぐらいあるか?」を分析しておりました(R)。

 

 

これは485件のレポートをデータベース化し、最終的に接触の追跡データを含む40の研究をまとめたもので、どんな結果が出たかと言いますと、

 

  • 研究によって数値は大きく異なるが、家庭内の二次感染率が50%を超えることはなかった
  • 観測された最高の二次感染率は44%強で、大多数の研究では33%以下だった
  • 平均の二次感染率は18.8%だった

 

みたいな感じです。家庭内は接触頻度も高いし同じキッチンや洗面台とかを使うのに、こんだけ数字が低いのはちょっとおもしろいっすね。

 

 

また、その他の知見としましては、

 

  • 子供の接触よりも成人の接触、他の家族の接触よりも配偶者の接触、3人以上の接触よりも1人の接触がある世帯で、二次感染率は高くなる傾向があった

 

だそうです。もちろん、だからといって「家庭内での感染対策は不要!」みたいな話じゃないですけど、無駄にビビる必要もなさそうっすね。

 

 

 

みんな新型コロナについて嘘つきすぎ問題

新型コロナにかかってる人は自分の症状について嘘をつきがちだ!」みたいな研究が出ておりました(R)。

 

 

これは451人のアメリカ人を対象とした調査で、「新型コロナでソーシャルディスタンスは保ってます?」とか「新型コロナの症状はみんなに言ってます?」とか「自粛のガイドラインは守ってます?」みたいな質問をしたんだそうな。そこでどんな結果が出たのかと言いますと、

 

  • だいたい半分ぐらいは症状があっても他人から隠すと回答。女性よりも男性の方が症状を隠す傾向があった
  • 4分の1は「俺はソーシャルディスタンスをちゃんと守ってるぞ!」と嘘をついている
  • 53%の人は「新型コロナにかかっても隔離する必要はない!」と答えた

 

とのこと。なかなかの数値が出てますが、研究チームいわく、

 

 

この研究は、ウイルスの拡散を正確に追跡し、防止することの難しさを浮き彫りにしている。新型コロナの要請率を正しく追跡するには、みんなが情報を正確に開示してくれなくてはならない。

 

 

ってことでして、あくまでアメリカの調査ながら、仕事上の問題などで正確な開示が難しい人は日本でも多そうな気はしますな。

 

 

以前にコロナ系の風邪を引いた人は新型コロナにもつよい?

以前に別のコロナウイルスで風邪をひいたことが人は、新型コロナに強くなってるかもだ!みたいな話(R)が出ておりました。これは現在のパンデミックが起きる前に採取された血液を使った調査で、このサンプルのいくつかに新型コロナに対する免疫反応が見られたというんですな。

 

 

その理由をはっきりさせるのは難しいものの、著者の推測としては、

 

  • 新型コロナの親戚にあたるウイルス(229E、NL63、OC43、HKU1)にかかって軽い風邪の症状を体験した人は、免疫システムが活性化したからだ!

 

って感じになってます。以前から「新型コロナに感染してない人でも、すでに何らかの免疫反応がある人は結構多い!」みたいな傾向が確認されてましたし、ありそうな話っすね。

 

 

まぁそうはいっても現時点ではまだまだ初歩的な研究ですし、風邪を引き起こすウイルスは他にも200種類以上あるので、「前に風邪を引いたから新型コロナに強くなってるはずだ!」って話ではないのでご注意ください(言わずもがなですが)。

 

 

ただ、似たような人種や同じ場所に住んでる人でもウイルスの影響が予測できない理由としては、ちょっと説得力がありそうな感じっすねー。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。