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認知症リスクを40%下げる生活習慣はこれだ!というレポートがランセットから出てた件

  

認知症リスクを40%下げる生活習慣はこれだ!」みたいなレポート(R)が出ておりました。認知症ってのは遺伝や環境などもかなり影響するんで、「これをやれば予防できる!」みたいな対策はないんですけど、自分の頑張りでどうにかできそうなポイントを抽出してくれたんですね。

 

 

これはランセット(超有名な医学雑誌)のコミッションが、過去の研究をベースに信頼度の高い要素を抜き出し、「このライフスタイルを変えれば認知症リスクが下がるよ!」ってのをまとめたものになってます。ランセットは2017年にも似たようなレポートを出してまして、今回のはその最新バージョンになります。

 

 

で、ランセットが提唱する「認知症に関わる要因」は12個ありまして、以下のような感じ。それぞれの末尾についてる数値は、「もしそのリスク要因がなかったら認知症のリスクが何%減少するか」を表しております。

 

 

  • 若年期のリスク要因
    • 中等教育の未終了(7.1%)

 

  • 中年期(40才前後)のリスク要因
    • 聴力の低下(8.2%)
    • 高血圧(最高血圧が130 mmHgより上)(1.9%)
    • 肥満(BMIが30より上)(0.7%)
    • 過剰な飲酒(週に21ユニットより上=だいたい1日にワイン1杯か350mlのビール缶1本ちょっとぐらい)(0.8%)
    • スポーツや仕事などによる頭部のケガ(3.4%)

 

  • 老年期のリスク要因
    • 喫煙(5.2%)
    • うつ病(3.9%)
    • 社会的孤立(3.5%)
    • 糖尿病(1.1%)
    • 運動不足(1.6%)
    • 大気汚染や副流煙 にさらされたかどうか(2.3%)

 

 

喫煙とか肥満が良くないのは「そりゃそうだよなー」って感じですけど、社会的孤立とか聴力の低下みたいに「他人とのコミュニケーション」に関わる数値がかなり大きいのがポイントですかね。やっぱ社会的なコミュニケーションは良い脳トレになりますもんね。

 

 

研究者いわく、

 

アルコールと脳機能および認知症には複雑な関係があり、大規模な観察研究などからのエビデンスが増えてきている。決して酒が悪いとは言わないが、週に21ユニット以上は確実に悪い。

 

ってことで、酒好きにはちょっと辛い結論かもですね。週に21ユニットぐらいだと、軽い晩酌をたしなむレベルでも超えちゃう可能性は十分にありますからねぇ。

 

 

さらにその他のポイントについては、

 

大気汚染を減らすための政策の改定が必要だが、個人でもいくつかの対策は取れる。例えば、交通量の多い道路を歩くのは避け、代わりに可能な限り裏通りを歩く、などだ。

 

血圧については、以前は140以下が目標と考えていたが、認知症のリスクを減らすためには130以下を推奨したほうが良さそうだ。

 

社会的なコミュニケーションに関するエビデンスは非常に一貫しており、現在ではより確実なものになっている。中年期に社会的なコミュニケーションが増えると、人生の後期における認知症リスクが軽減される。この関係は十分に確立されている。

 

みたいになってます。また、上記のリスク要因に「不健康な食事」と「睡眠不足」が入ってないのを不思議に思われた方もいるかもですが、この点につきましては、

 

ここ数年、認知症に関する栄養と睡眠に関するデータが多く発表されているが、これらを危険因子のリストに含めるほどのエビデンスの積み重ねはなかった。

 

地中海食や北欧風の食事スタイルなどは、おそらく違いをもたらすのだろうが、認知症と関わる特定の要素はよくわからない。いまのところは、健康的な食事をして、健康的な体重を維持するのがおすすめだ。

 

とのこと。もちろん、睡眠や食事と認知症の相関を示したデータは多いんですが、まだまだわかってないことが多いので今回のレポートにはふくめなかったってことですな。 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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