地中海式ダイエットなら、痩せなくても4週間で健康レベルが改善するぞ!みたいな研究の話
このブログでは「地中海式ダイエット」をよくほめてたりするわけです。イタリアとかギリシャで昔から伝わってきた伝統食を模した食事法で、心臓病や癌にかかる率を下げたり、脳機能を高める可能性が指摘されてたりするんですよ。
で、新しい実験(R)も地中海式の話で、研究テーマをひとことでまとめると、
- 地中海式の食事法を使えば、"体重が減らなくても"病気のリスクが減るんじゃないの?
みたいになります。
太った人ほど心臓病や癌にかかりやすいのは有名な話でして、長生きしたけりゃまず肥満対策をするのが基本。が、病気のリスクは肥満だけじゃないので、地中海式を使えば、たんにカロリーが減るだけではなく、腸内細菌のバランスを整えたり全身の炎症を減らすことで、体重が下がらなくてもそこそこ健康状態が改善するんじゃないの?ってとこを調べたわけです。
実験の参加者は、ほとんど運動をしてない過体重男女82人で、腸や心臓に目立った問題がない人だけを選んだとのこと。平均のBMIは31だったそうなんで、みなさんなかなかの体型っすね。
研究期間は8週間で、全体を2つのグループに分けております。
- いつもどおりの西洋食を続ける
- 地中海式にチャレンジする
地中海式に割り当てられた参加者は、毎日以下のようなガイドラインを守るように指示されたそうな。
- 毎日少なくとも5人前の果物と野菜を食べる
- ナッツは1日30グラムを目安に食べる
- 精製された炭水化物(食パンとかパスタとか)は全粒穀物(全粒パンとか全粒パスタとか)に置き換える
- 肉、卵、乳製品を、週2回以上の魚と週3回の豆類に置き換える
- バターやマーガリンの代わりにエキストラバージンオリーブオイルを使う
というわけで、かなりシンプルなタイプの地中海式になってます。まぁ食事法って凝りだすとキリがないんで、これぐらいのガイドラインにまとめておいたほうが続けやすいでしょうね。ちなみに、この実験では、すべての参加者に「実験中は運動しないでねー」と伝えて、食事の効果だけをチェックしております。
では、8週間後の結果を見てみましょうー。
- 地中海式に取り組んだグループは、西洋食グループと比較して食物繊維の摂取量が2倍になり、動物性タンパク質に対する植物タンパク質の比率が2.5倍になった
- 4週間後のテストでは、地中海式グループの総コレステロール値は、西洋食と比べて10.8 mg/dL下がった。8週間後の時点では、両グループの差は5.4 mg/dLになった
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地中海式を守れば守るほどコレステロールレベルが低下する傾向があった
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4週間後のテストでは、地中海式をよく守った人ほど腸内細菌の多様性が増えていた。ただし、この傾向は8週目には横ばいになった。
- 腸内細菌が増えた人は胆汁酸の量が増えており、これが炎症性疾患のリスクをやわらげると考えられる
ってことで、地中海式を試したグループは、体重がそんな変わらないにも関わらず健康の指標に良い結果が出てまして、特にコレステロールと腸内細菌の問題にお悩みの方であれば、試す価値が十分にありそうっすね。4週間ほどでこれぐらいの結果が出るんなら、よろしいのではないでしょうか。
まぁ一般的には、心疾患のリスクを約25%低下させるには約1 mmol/L か40 mg/dLぐらいLDLコレステロールが下がる必要があるんで、実際に意味があるレベルまで効果を出そうと思ったら、おそらく8週間以上は地中海式を続けなきゃいけないはず。そこらへんはご注意ください。