メンタルを崩壊させたくないなら「趣味」だ!とにかくし「趣味」を持つのだ!という観察研究の話
幸福になるためには趣味が大事!って研究は昔からあって、
みたいな話を過去に紹介してまいりました。趣味を持つのがメンタルに良さそうなのはなんとなくわかる話ですが、どうも想像以上のメリットがあるみたいなんですよね。
でもって新たな研究(R)では、「どんな趣味だろうが、のめり込めるものを持っている人は鬱に強い!」って結論になっておりました。
まずは研究チームの問題意識を紹介しとくと、こんな感じです。
過去の初歩的な研究のなかには、メンタルヘルスの問題に苦しむ人たちに、新しい趣味を持つようにうながすものがある。例えば、音楽、絵画、ハンドクラフト(裁縫、大工、収集、模型製作など)などだ。
こういった活動は、気晴らし、目新しさの感覚、認知刺激、帰属感などを引き起こすだけでなく、ストレス対処のスキルと自己コントロール感を向上させ、(グループで活動しているときは)社会的なサポートも提供してくれるという点で、すべてがメンタルヘルスの改善と正の相関を持っている。
さらに、これらの趣味に、感覚的な喜び、自己表現、創造欲の充実、リラックス感ももたらしてくれる。
ってことでかなり趣味を絶賛しておられました。なんでもいいので「金のためでなく純粋に行為の喜びのためにやってる活動」は、メンタルヘルスの改善に多大な効果があるんじゃないかってことですね。
ってことでチームは、イギリスで行われた有名なデータセットを使いまして、50歳以上の成人8,780人を対象に「趣味はどれぐらいメンタルにいいのか?」ってポイントをチェックしております。
このデータは2004年〜2016年にかけて2年ごとに調査を行ったもので、
- 趣味を持ってますか?
- メンタルの調子はどうですか?
って2つのポイントをチェックして、両者の関係性を見たんだそうな。調査のスタート時には、全体の71.9%が「なんらかの趣味や娯楽を持ってます!」と報告し、15.6%がうつ病と判断されていたとのこと(CES-Dを利用)。
でもって、すべてのデータをまとめたところ、こんなことがわかりました。
- 趣味を持っているかどうかは抑うつ症状の減少と相関があり、趣味を持つ人は抑うつを経験するリスクが30%低かった(男性と女性で差はなし)
- さらに、趣味を持っていると抑うつ症状を低いレベルで維持することができ、抑うつが進行するリスクがが32%低かった
- 調査のスタート時に鬱症状に悩んでおり、なおかつ趣味を持っていなかった人がなんらかの趣味を持つと、症状から回復する確率が272%高かった
ということで、272%という凄まじい数値が出ております。もちろん年収や健康レベルなどの要素は調整されてまして、それでもこれだけの数値が出るのはビックリしますね。
研究チームいわく、
趣味を持つことによるメンタルのメリットは、男性と女性の両方において、調査のスタート時に欝病がなかった人々と、ベースライン時に既に欝病があった人々のあいだで一貫して見出された。」
ってことで、どうやら趣味は万人に良い成果をもたらす可能性が大きいみたい。データを見ると「なんとなく他人と交流できる趣味の方がいいのかなー?」って気もしますけど、基本的にはひとりで行う趣味でも十分な効果があるみたいなんで、とにかく「金じゃなくてただ楽しいからやる!」ってものを何か持っておくと良さそうっすねー。