新型コロナのストレスには、若者よりもご老人方のほうが強いかもしれない件
新型コロナは高齢者の方が重症化するリスクが高いのはご存じのとおり。ならば「高齢の方は多大なストレスを抱えているのだろうなぁ……」と思いきや、「実際には若い奴の方が新型コロナでメンタルをやられてるみたいだぞ?」ってな話が同時期に2つ出てましたんで軽くメモっときます
ひとつめはジョージア大学などの研究(R)で、アメリカに住む60歳以上の成人833人を集めて、みんなが自粛期間中にどんな感じで過ごしてたかを尋ねたものです。自粛期間の平均はだいたい17日ぐらいで、みんなの回答をまとめたところ、
- 60~70歳の回答者は、約40%が「中から大レベルのストレスがあるし、自分の人生をコントロールできない感じが強い!」と答えた(これは、自粛期間中に運動の量が減り、酒を飲む量が増えたからだと思われる)
- ところが、71歳以上の回答者に限った場合は、74%が「ほとんどストレスを感じない!」と答えた
って感じだったそうです。なぜか60代よりも70を過ぎた方々のほうがノーストレスで暮らしてるケースが多かったんだそうな。その理由はよくわからんのですが、回答のなかには「こんなの戦争に比べりゃどうってことない!」って答えが多かったそうで、研究者はこう申しておられます。
経験こそが高齢者の強みだ。高齢者は人生経験が豊富だが、私たちはしばしばその価値を低く見積もってしまう。しかし、実際には彼らの知恵はストレスの対処メカニズムとして有効だ。私たちは、人生の悪い時期をよりよく生き抜くための例として、高齢者に目を向けるべきだろう。
ってことで、高齢者のレジリエンスが高いのは、シンプルに経験値の差なのかもしれません。うーん、素晴らしい。
で、もうひとつはブリティッシュコロンビア大学などの調査(R)で、こちらはカナダとアメリカで暮らす 18〜91 歳の男女776人に対して、「パンデミックの数週間でストレスや幸福度がどれだけ変化したか日記をつけてね!」と頼んだ内容になってます。上の研究よりもさらに若い層がふくまれてるのがいい感じっすね。
その後、日記の内容をまとめたらどんな傾向が浮かび上がったのかと言いますと、
- 若者より高齢者のほうがパンデミック中でも幸福感を得てるし、ストレスや不安の感情も少ない!
- 高齢者ほどパンデミックの最中にポジティブな出来事を経験していた(リモートのコミュニケーションとか)
だったそうです。研究者いわく、
一般的に「高齢者は弱い」と言われることが多いが、実際は感情的な回復力が高いという新たな証拠が得られた。逆に、若い成人はパンデミックの間に孤独と心理的苦痛を覚えやすい可能性が示された。
とのこと。もちろん、若者と高齢者ではライフスタイルが違うんで、これをもって「若者はメンタルが弱い!」とは言えないわけですが(特に若者は仕事の環境が激変したんでそこが大きそう)、とりあえず「高齢者のレジリエンスすごい!」って印象はありますね。