みんなが運動を習慣にできないのは、本当は運動しているのに気づいてないからかも?みたいな観察研究の話
「どんな軽い運動でもするに越したことはない!」って研究が増えてきた昨今でございます。通勤時の駅までのウォーキングや床の拭き掃除なんかも立派な身体活動なので、エクササイズとしてカウントしてOKですよーってのが最近の考え方なんですよね。
が、そうは言っても、いままでまったく体を動かしてなかった人は、超軽い運動の量を増やすのも意外と難しかったりするんですよ。その原因としては、「たんに習慣化されてない」ってのももちろんあるんですが、近ごろ発表されたデータ(R)は、また別の角度から光を当ててくれていて勉強になりました。
これはコンスタンツ大学などの調査で、長期の健康調査に参加している男女605人のデータを分析したものです。参加者に何を尋ねたかのかと言いますと、
- 直近の1週間でどれぐらい身体活動をしたかを質問
- 6カ月後に、身体活動のレベルにどれぐらい変化があったかを質問
- 60分のサイクリングテストで客観的な体力を測定
みたいになってます。要するに、主観的に「私は運動をしている!」と感じている人と、「なかなか運動できなくて……」と感じている人の間にはどんな違いがあるのかを調べたわけです。
でもって、その結果がどうだったかと言いますと、
- 6カ月後に「私は運動をするようになった!」と答えた人は、激しい運動の量(ランニングとか)が週に約52分〜82分ぐらい増えていた。そのおかげでちゃんと体力もついていた
- ただし、「私は運動をするようになった!」と答えた人は、中等度の活動(ジョギングとか早歩きとか)の量は増えていなかった
だったそうです。つまり、わかりやすく言い換えると、
- 多くの人はかなり激しい運動をしないことには、主観的に「自分は運動をした!」と思いづらい
みたいな話ですね。実際にはそこそこの運動をしてたとしても、自分が「これはキツいなー」と思えるレベルをこなさないと、「私はエクササイズをやってるぞ!」って感覚が生まれないのではないか、と。中程度の活動でこれなんだから、床の拭き掃除や散歩の量を増やしたところで、「やってる感」は生まれにくいでしょうなぁ。
研究チームいわく、
今回の研究結果によると、多くの人は、軽度な身体活動を効果的なものだとは認識していなかった。
そのため、運動が健康に良いことは誰でも知っているにもかかわらず、十分なモチベーションを得られていない可能性がある。
とのこと。ひょっとしたら、みんなちゃんと活動量を増やしてるのに、「自分なんて運動してないですから……」と思っちゃってるかもしれないわけっすね。確かにもったいない話ですな。
ただし、チームは同時にこんなことも言っておられます。
この結果は、長期的に運動プログラムを続けられない人が多い理由を説明するのにも役立つかもしれない。
私たちは、中程度の身体活動がもたらすメリットを無視してしまうのは、少量の身体活動に気づくのが難しいからかもしれまない。
本当にこれが原因ならば、
- 「どんなに少量の活動でも健康には意味がある」ってのをしっかり認識する
- その上で、"意識的”に日常的な活動の量を増やす
って2つのポイントを押さえておけば、この問題を解決できるんじゃないかなーって気もしますな。とにかく「どんな少しの運動でも意味はある!」と思うのが、運動習慣を身につける第一歩かもしれませんよーってことで。