ただの塩水を鼻から吸い込んでストレスを激減させる方法
「プラセボ効果ってすごいよなー」ってのは「「病は気から」を科学する」などでもさんざん強調されてる話で、とにかく人間の思い込み能力は偉大。過去には「プラセボ薬で腰痛が激しく改善!」なんて話もあるぐらいで、それなら脳の錯覚だろうがなんだろうが使った方がいいだろうと思うわけです。
ってことで新しい研究(R)は、「プラセボの薬でストレスが減る!それがプラセボだと知ってても減る!」という結論になってて、あらためて「思い込みすげー」との感想を抱きました。
これはダートマス大学などの調査で、「透明プラセボ」の効果を確かめたもの。要するに「この薬には有効成分なんて何も入ってないよ!」ってのをちゃんと説明したうえでも、ヒトの心には何らかの影響があるんじゃないか?ってのを調べたわけです。
ここでは2つの実験が行われていて、まずひとつ目は、
- 68人の男女に点鼻スプレーをわたして、そのうち半数には「ここにはなんの有効成分も入ってないけど、信じればネガティブな感情を抑えるのに役立つよ!」と伝える
- 残り半分には「これは生理食塩水の点鼻スプレーです」とだけ伝えて、プラセボ効果の高さについてはなにも教えない
- その上で、みんなにストレスをかき立てるようなイヤーな画像を見せて、主観的な感情の変化を報告してもらう
って感じで、ただの生理食塩水を鼻から吸入して、どんな違いが出るかを確かめたそうな。続いて2つ目のテストでは、
- 218人の男女に点鼻スプレーをわたして、ひとつ目の実験と同じようにグループ分けする
- 上と同じようにイヤーな画像を見せて、脳波の変化をチェックする(LLP)
みたいになってて、こちらではストレスをより客観的に計測しております。
でもってどんな結果が出たのかと言いますと、
- プラセボ効果を強調されたグループは、ただの生理食塩水を使っただけなのに「ネガティブな感情が減った!」と報告した
- プラセボ効果を強調されたグループの脳は、点鼻スプレーを使ってから数秒以内に、苦痛に関わる脳の電気活動が低下した
- プラセボ効果の力を信じるように指示されなかったグループは、生理食塩水スプレーを使ってもストレス軽減効果は見られなかった
ということで、本当に「信じる者は救われる」や「鰯の頭も信心から」を地でいくようなデータになってました。おもしろいですねぇ。
研究者いわく、
「透明なプラセボ」は、症状の程度を問わず、多くのメンタルの問題を解決してくれる費用対効果が高い方法になる得るかもしれない。そのためにまず重要なのは、プラセのメリットがただの自己報告ではなく、客観的な生物学的マーカーで確かめられる必要がある。
この研究で得られた知見は、感情のコントロールやストレスに関連する神経バイオマーカーに対して、透明なプラセボが客観的な効果を示す可能性を示唆する。
とのこと。とりあえず「プラセボには効果があるんだ!」ってことさえ知っておけば効果は得られるんだってことで、かなり活用範囲が広そうな話じゃないでしょうか。これを応用するなら、
- つねにミンティアみたいなタブレット菓子を持ち歩いておく
- ストレスが大きそうな状況になったら「俺はいまからブラセボを使うぞ!」と自分に宣言する
- ミンティアを食べる
みたいな形で手軽にストレス解消ができるんじゃないかって気がするわけです。ちょっと試してみるかな……。