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プラシーボ薬を飲むと本番のプレッシャーに強くなる!それがニセ薬だと知ってても強くなる!という実験の話

プラシーボ効果の凄さについてはこのブログでもたまに書いていて、「ニセの薬で腰痛が改善!」とか「メンタルの不調も改善!」なんて現象が確認されてたりするわけです。「思い込み」ってのはそれだけ人間への影響力が大きいわけですな。

 

 

で、新しいデータ(R)は、「プラシーボでプレッシャーに強くなるぞ!」との結論になってておもしろかったです。

 

 

これはベルリン医科大学の調査で、まずは58人の学生を集めて、

 

  1. テストの不安がどれぐらいあるか?
  2. 人生の満足度がどれぐらいあるか?
  3. 心と体の健康レベルはどれぐらいあるか?

 

といったポイントをチェックしたらしい。この中で一番重要なのは「テストの不安」で、過去の研究なんかを見てると5人に2人は試験の最中に緊張しすぎる傾向がありまして、多量の発汗やら心拍数の上昇やらネガティブ思考の増加などが見られるんだそうな。その結果、テストの成績が実力よりも低下しちゃうわけですな。

 

 

そこで研究チームは「テストの不安ってプラシーボでどうにかなるのでは?」との仮説を立てまして、参加者を2つのグループに分けております。

 

  1. テスト本番まで何もしない
  2. 1日1回ずつ「テストの不安に効く!」と言われるカプセル薬を飲む

 

もちろんテスト不安に効く薬なんてないわけですが、ここでおもしろいのは、その事実を被験者にちゃんと伝えてるとこです。要するに、「これはプラシーボ薬だけど、テストの不安に効くと思って飲んでみてね!」と実験前の学生たちにいいふくめたんですよ。おもしろいっすねぇ。

 

 

そして2週間後、実際にテストを受けてもらったところ、こんな結果になりました。

 

  • ニセの薬を飲んだグループは、それが偽薬だと理解していたのに、それでもテスト本番の不安が減少した
  • ニセ薬を飲んだ被験者は、セルフマネージメントのスキルも向上していた(ストレス対処能力とか自己の能力への自信とか)

 

ってことで、「不安に効く!」と言われて処方されたら、デタラメな薬でも実際に能力が改善しちゃったみたい。まぁサンプルサイズが少ない研究なので、これが現実のテスト対策にどこまで使えるかはわからないんですけど、以前には「自分は「頭がいい」と思うだけでIQは10ポイントあがる」なんてデータも出てますし、思い込みの力はバカにできない気もしております。

 

 

まぁプラシーボを信じるぐらいなら大した手間でもないんで、緊張しがちな人は試してみると良いのではないかと。その際は、過去に紹介した「プラシーボの効果を倍にする方法が発見される」なんてデータも参考になるかもしれません。にしても、そう考えると「オモシロクナ~ル」みたいな商品にも一定の効果はあるのかもですなぁ(笑)

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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