大人になってからの幸福を左右する「子供時代の7つの体験」
「子供時代の7つの体験が大人になってからの幸福を左右する!」ってデータ(R) がためになる内容だったのでメモ。
これはジョンズ・ホプキンス大学の研究で、18歳を過ぎた6,188人の男女を対象にしたもの。ざっくりどんな研究だったかと言いますと、
- みんなが18歳より前の時点でどんな体験をしてきたか?を調べる
- 現時点で参加者のメンタルの状態を調べる
- 2つのデータをひっくるめて相関を出す
みたいな感じです。あくまで横断研究なのでデータの質って意味ではやや劣るものの、あんま類似な研究がないので貴重な内容ではないかと。
でもって、ここで研究チームが何を調べたかったのかと言いますと、
- 子供時代にどんなポジティブな体験をしてると、大人になってからのメンタルの安定につながるのか?
ってポイントです。子供の頃の体験といってもいろんな種類がありますが、その中でも成人後のメリットが大きいものはなんなの?ってことですね。このように「成人後のメンタルを左右する子供時代の体験」を、研究チームは「PCE」と呼んで増して、要は「子供時代のポジティブな体験」(positive childhood experiences)の略です。
と、ここでピンと来た方がいるかもですが、これは幼児教育の世界で昔から使われてきた「ACE」の向こうを張る考え方になってるんですね。「ACE」は「子供時代の逆境体験」(adverse childhood experiences)の略で、18歳より前の時点で以下の10個の経験をした人のことを意味します(R)。
- 身体的虐待(殴られたりケガをさせられたりとか)
- 精神的虐待(親から罵倒されたり恥をかかされたりとか)
- 性的虐待(体を性的に触られたりとか)
- 身体的ネグレクト(満足な食事を与えられないとか医者に連れて行ってもらえなかったりとか)
- 感情的ネグレクト(話しかけても無視されたりとか)
- 両親の精神病(うつ病や統合失調)
- 親戚の逮捕
- 母親の暴力的な育児(体罰とか)
- 両親の薬物乱用(アル中だったとか)
- 両親の離婚
1998年以降に行われた先行研究では、これらの体験が増えるごとに、次のような行動や健康リスクが激増しちゃうことがわかってるんですよ。
- 運動不足
- 喫煙
- アルコール依存
- ドラッグ依存
- 勤怠
- 肥満
- 糖尿病
- うつ病
- 性感染症
- 心臓病
- 癌
- 脳卒中
- COPD
- 骨折
虐待などによって残された深い傷が、大人になってからも影を落とし続けてしまうわけですね。
で、今回の新たな研究は「ACEと対になるような体験ってどんなものなの?」って発想からスタートしてまして、「成人後のメンタルを安定させるのに欠かせない要素」を7つに絞り込んでくれております。
- 家族に自分の感情を話すことができた
- トラブルが起きても家族のサポートを感じた
- 地域コミュニティへの参加を楽しんだ(祭りとか地域イベントとか)
- 高校自体に所属の感覚を味わった(部活とか友人のコミュニティとか)
- 友人からのサポートを感じた
- 自分に心からの興味と関心を注いでくれる大人が、両親のほかにも2人以上いる
- 家にいるときには大人から守られている感覚があった
というわけで、子供だけでなく大人にもかなり重要な要素が並んでますね。要は「サポート感」と「所属感」の2つが大事ってことなんでしょうなぁ。
データによれば、以上の要素を6〜7つほど満たしている人は、そうでない人に比べて、
- 大人になってからメンタルを病む確率が75%も低い!
- 大人になってから適切な社会的&感情的サポートを得られる確率が350%も高い!
って傾向が出てたそうで、あくまで因果関係はわからないながらも、ちょっとビックリするレベルの差になってますね。
研究チームいわく、
今回のデータによれば、PCEの指標を満たせば満たすほどメンタルが健全で、対人関係も良好になるようだ。これらの良い影響が積み重なれば、ACEによるリスクをやわらげられるだろう。
ということで、以上の話を軽くまとめますと、
- いま子育て中の方は、上記の7ポイントを満たすような環境を作ってあげるといいよー
- もし子供時代に7つのポイントを満たせないまま成長した人は、今からでも遅くないから「サポート感」と「所属感」を増す方向に行動してみるといいよー
みたいな感じでしょうね。どうぞよしなに。