このブログを検索




脳の改善に役立ちそうなデータいろいろ#3:クレアチンと脳疲労、認知症リスクを下げるフラボノイド、フユサンショウ……etc

 

 

過去に類似の話を紹介したけど、さらに追試で効果が確認されたので無視するのももったいないケース」をまとめて取り上げてみるシリーズです。今回は「脳の改善に役立ちそうなデータ」の第3回目ということで、4つの研究を、すごーくざっくりとまとめてお送りしまーす。

 

 

クレアチンが脳疲労を防ぐ?

毎度おなじみ優良サプリ「クレアチン」に、運動の精神疲労をやわらげる効果が!みたいなデータ(R)が出ておりました。なんでも、クレアチンが脳内のホスホクレアチン量を増やし、おかげで運動中の「もう気持ちが追いつかない……」みたいな状態を打ち消すかもしれないというんですな。

 

 

これは平均24歳の男女14人を対象にしたクロスオーバー試験で、

 

  1. プラセボサプリを飲む
  2. クレアチン20gを飲む

 

っていずれかの作業を7日間ほど続け、さらにその後で、

 

  1. 精神的に疲労するタスクを90分
  2. 7分間のエクササイズ系タスク(運動性能のチェック用)
  3. 握力タスク(体力と持久力のチェック用)
  4. 3分間のフランカータスク(認知機能のチェック用)

 

を実施したところ、クレアチンを飲んだ後は、大半の参加者が精神的疲労に強くなり、体力と持久力が向上したそうな(一方でスポーツの運動性能と認知機能には変化がなかった模様)。

 

 

クレアチンの摂取量って1回5gぐらいが普通なんで、1日20gってのはかなり多めっすね。これだけ飲むのは大変そうですが、副作用もなさそうなんで試してみるかな……。

 

 

 

認知症のリスクを下げるフラボノイドは?

フラボノイドが体にいいなんて話はもはや耳タコでしょうが、新たに「アルツハイマー系の認知症にいいんじゃない?」って話(R)が出ておりました。アルツハイマーの原因は完全に解明されてないものの、フリーラジカルや酸化ストレスが関わってると考えられてまして、それゆえにフラボノイドが効くと言われてきたんですよね。

 

 

ってことで、この研究では2,801人を19.7年ほど追いかけた観察データを分析したものです。調査の期間中に参加者の193人がアルツハイマー系の認知症にかかったそうで、これを全員の食事と比べたところ、

 

  • フラボノイドの摂取量が最も多かった参加者は、摂取量が最も少なかった参加者よりも認知症になるリスクが低かった
  • なかでも認知症のリスク低下につながったのは、アントシアニン、フラボノール、フラボノイドポリマーだった

 

ということなんで、具体的な食品としては"リンゴ、ベリー類、ピーマンなど”を積極的に食べておくと、脳のプロテクションに役立つかもですねー。

 

 

 

筋トレと有酸素運動はどっちも脳にいいの?

運動で頭が良くなるって話も何度もしてますけど、新しいデータ(R)は「筋トレと有酸素運動はどっちでもいいの?」みたいなポイントをチェックしてくれてました。

 

 

具体的には、軽い認知症に悩んでいる80人の男女に、週5日ずつ「軽い筋トレ」か「軽い有酸素運動」のどっちかをやってもらったそうな。実験期間は4週間で、最終的な結果はどっちも同じ。「軽い筋トレ」でも「軽い有酸素運動」でもほぼ同じぐらい認知症が改善したみたい。

 

 

まぁ運動をしてない対照群を作ってないんで、このデータだと運動がどれぐらいの効果を持つのかはハッキリしないんですけど、とりあえず脳を守るためにも筋トレか有酸素運動のいずれかを続けといた方が良さそうっすね。

 

 

 

ADHDの子供に亜鉛が効くかも?

ADHDの子供に亜鉛が効くかも?みたいなデータ(R)が出ておりました。というのも、昔から亜鉛は脳の注意機能に関わってることが知られてきた上に、ADHDの子供は体内の亜鉛のレベルが低い傾向も確認されてたんですよ。

 

 

ということで、研究チームは6週間のランダム化比較試験を行いまして、リタリンの治療を受けているADHDの子供60人に、

 

  1. 硫酸亜鉛のシロップ(エレメンタルジンク10 mg)
  2. プラセボのシロップ

 

って介入をしたら、亜鉛を飲んだ子供は有意に注意力がアップしてたんだそうな。ただ、この実験はADHDの症状測定に主観的なアンケートを使ってるんで、どこまで改善レベルを信頼していいかと言われれば悩んでしまうとこです。亜鉛が脳の働きに欠かせないのは間違い無いんで、不足しないように重々注意していただきたいとは思いますが。

 

 

 

フユサンショウで脳機能が改善?

フユサンショウってのは日本でもよく見かける常緑低木で、いろんな生理活性物質がふくまれてる植物のこと。前から「脳機能の改善にいいかも?」と言われてまして、新たな研究(R)でもどれぐらいの効果があるのかをチェックしてくれてました。

 

 

こちらは56日間のランダム化比較試験になってまして、30〜55歳の男女82人に対して、

 

  1. フユサンショウを溶かしたMCT油2.8グラムを1日2回ずつ摂取
  2. 同量のプラセボオイル(ヒマワリ油)を1日2回ずつ摂取

 

って感じでしばらく様子をチェックしたら、こんな結果だったらしい。

 

  • フユサンショウを飲んでから、すぐに注意力のスピードと視覚情報の処理能力が上がった
  • 投与から3時間後の暗算テストでも有意に成績が良くなった
  • 56日目のテストでも脳の情報処理スピードと精神疲労が軽減していた



ということで、全体的に良い成績が出てますねー。ただ、フユサンショウは手軽にサプリで取れるもんでもないし、今回のはかなり小規模なテストなんで、まだまだ実用的なデータとは言えないのが残念なとこっすな。とりあえず今後の成果に期待ってことで。

 


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM