下半身デブは気にするな!心疾患で死ににくい証拠だ!みたいな研究のお話
アメリカ心臓協会の定例会(R)で、「足に脂肪がついてる人ほど高血圧になりにくい!」っておもしろい発表が出ておりました。「足が太くて……」みたいなお悩みがある方にはちょっといい話じゃないでしょうか。
これはラトガーズ・ニュージャージー州立大学の研究で、2011〜2016年のあいだに国民健康・栄養検査調査に登録した約6,000 人のデータを使ってます。参加者の平均年齢は37歳、半数近くが女性で、24%が高血圧(血圧が130/80mmHgを超えてる)だったそうな。
調査では、X線スキャンで脚の脂肪をチェックして、全身の体脂肪量と組織と比較。全身に対して下半身の脂肪が多い人の割合を出したらしい。その上で、すべてのデータをまとめたところ、
- 下半身の脂肪が多い人たちは、脂肪の割合が低い人に比べて、あらゆるタイプの高血圧になる可能性が低かった
- 足の脂肪の割合が高い人たちは、最高と最低血圧がどっちも上がるタイプの高血圧になる可能性が61%低かった
- さらに、足の脂肪が多い人は、拡張期高血圧のリスクが53%低く、収縮期高血圧のリスクが39%低くなっていました
って感じだったそうで、かなりの違いが出てますね。もちろん、結果に影響を与えそうな要素は調整が入ってまして、年齢、性別、人種、教育、喫煙、飲酒、コレステロール値などを考慮しても、この結果は残り続けたらしい。
研究チームいわく、
脂肪とは、どれだけあるかではなく、どこにあるかも非常に重要だ。ウエストの周りの脂肪が健康に有害であることを自信をもって指摘できるが、同じ悪影響は脚の脂肪には当てはまらない。
あなたの足の周りに脂肪がついている場合は悪いことではない可能性が高いし、高血圧から保護してくれている可能性がある。
とのこと。下半身の脂肪は評判が悪いですけど、実は心疾患で死ぬリスクをブロックしてくれてるかもしんないわけですね。
まぁ「下半身の脂肪は悪くない!どころか善玉だ!」って話は昔からありまして、このブログでも過去に「足や尻の脂肪が多い人は健康的だし、頭もいいんじゃないか?」なんて仮説を紹介してたりします。足や尻の脂肪はオメガ3が多いもんで、その分だけ全身の炎症が抑えられる可能性が高いんですよね。
あと、体脂肪については「なんでもかんでも悪いわけじゃないよねー」ってのも良く言われてきたことでして、そこらへんについては「体に良い体脂肪と悪い体脂肪を区別しておこう」などのエントリをどうぞ。脂肪にも良し悪しがありますんで。
ただ、念のため今回の調査の注意点もまとめておきますと、
- 観察研究の段階だし、血圧と脚の脂肪組織の割合が同時に測定されてるんで、原因と結果は特定できない(本当に下半身の脂肪のおかげで血圧が下がってるのかは謎)
- すべての参加者は 60 歳未満なので、より高血圧のリスクが高い高齢者には関係ないかもしれない
みたいになります。特に高齢者の場合は心疾患リスクが高いので、今回の結果をそのまま間に受けて「自分は下半身が太ってる!やった!」とか思わないほうがいいかも。
いずれにせよ、下半身まわりの脂肪はあっても問題ないどころか、健康に良い可能性は高いので、いま太ももが太くてお悩みの方も、”腹回りの脂肪が少ない限りにおいて”は喜んでいただいて良さそうであります。