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今週末の小ネタ:内向的な人の人間理解、イノンドでメタボ改善、選挙広告意味ない?

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

  

内向的な人ほど人間を理解している?

内向的な人ほど人間の心理を理解してる!(かも)」みたいな研究(R)があって、ド内向な私には気になるところでした。これは総計1,143人の男女に6つの試験を行なった研究で、だいたいのデザインはこんな感じです。

 

  1. みんなの外向&内向レベルをチェックする
  2. 全員に「人間心理に関する質問」を出す
  3. 質問の正解率が高い人の特徴をみる

 

「人間心理に関する質問」ってのは、例えば、

 

  • グループと個人で比べた場合、人間はどっちの方ががんばって働くか?
  • グループと個人で比べた場合、人間はどっちの方が自分の行動に責任を感じるか?
  • 怒りを何かに発散させる方法は有効なのか?

 

みたいな感じです(正解は、上から「個人」「個人」「無効」)。わりとみんなが引っかかりやすい心理系の知見をクイズとしてぶつけたわけっすね。

 

 

で、全員の答えを分析したところ、

 

  • 内向的な人たちは上記のテストの結果が良い
  • なかでも悲しい気分な人たちほど成績が良かった

 

みたいな傾向が出たそうな。チームいわく、

 

彼らは、陽気で外向的な人々のようにバラ色の眼鏡を通して世界を見ていない。

 

メランコリックで内向的な人たちは、他の人よりも人間の本質を観察するために多くの時間を費やしているのかもしれない。これは内向的な人の知られざる強さを示している。

 

とのこと。外向的な人と違って内向人間はじっと他人を観察する傾向があるので、その分だけ人間心理に通じるのではないか?って推測ですね。これがどこまで事実かは謎ですが、似たような傾向は昔のデータでも確認されてるんで、私と同じような内向人間は覚えとくといいかもしれません。

 

 

 

有名ハーブ「イノンド」でメタボが改善?

イノンドでメタボが改善?みたいなデータ(R)が出ておりました。イノンドってのはセリ科の植物で、香味料や生薬として使われてきた一年草です。過去も「肥満に悩む人のメタボに効果があるかも?」って話(R)もありまして、健康効果の見込みがあるかもしれないんですよ。

 

 

今回のテストでは糖尿病と胃腸の不調に悩む過体重な男女48人が対象で、1日3回ずつ1グラムの錠剤(イノンドまたはプラセボ)を服用して、8週間のランダム比較試験を行なってます。

 

 

その結果をざっとまとめると、

 

  • イノンドを飲んだグループは、脂質の酸化、インスリン、大腸の運動障害の改善がみられた
  • 中性脂肪、総コレステロール、空腹時血糖値、HbA1c、抗酸化能、CRP(体内の炎症)も改善してた(ただし有意ではない)
  • ただし、胃と食道の運動障害、胃食道逆流、消化管の障害については目立った違いがなかった
  • さらに、イノンドを飲んだグループはLDL-Cの増加とHDL-Cの減少もみられた

 

ということで、なんとなく「イノンドはいいのかなー」って気もしますけど、一方ではLDLコレステロールも増えてたりするし。ベースライン時の差がグループ間でだいぶ違うもんで、かなり偶然の要素が左右してる気もしますね。

 

 

とりあえず、いまの段階ではサプリを使うのは時期尚早なんで、追試の結果を待つ感じでいいかなってとこっすね。

 

 

 

選挙キャンペーンって意味あるの?問題

選挙の宣伝って意味あるの?」ってのを調べた珍しい研究(R)がおもしろかったんでメモ。どんな研究だったかと言いますと、

 

  1. 2016年のアメリカ大統領選挙で使用された49の広告をピックアップ
  2. これの広告がどんな影響を持ったかを約34,000人を対象にチェック

 

みたいになってます。具体的には、2016年の米大統領選でトランプさんやヒラリーさんが互いをディスりあったり、テッド・クルーズやバーニー・サンダースみたいな他の候補が出したポジティブな広告の効果をテストしたんだそうな。

 

 

でもって分析の結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 平均して広告の効果は非常に小さく、投票行動に0.007パーセントの差しか生まなかった
  • 候補者への好意的な評価については0.05パーセントほど影響があった

 

だそうで、ちょっとビックリするぐらい効果が出てないっすね。この傾向については、広告の内容や有権者の政治志向と無関係に確認されたそうで、共和党員だろうが民主党員だろうが全体的に選挙の宣伝広告にはほぼ意味がなかったみたい。

 

 

チームいわく、

 

政治的な広告は、一貫して小さな説得効果しか持たないことがわかった。おそらく、テレビ広告は、候補者が自分の名前を認識させるのには役立つだろう。

 

ただし、今回の研究で示された効果は非常に小さなものだが、あくまで検出可能なレベルではあるため、勝敗が僅差の選挙では影響を持つと思われる。

 

ってことで、あんだけハデにやってるアメリカの選挙キャンペーンがほぼ無意味だってのは、なかなかおもしろいもんですなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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