頭を良くしてくれるフルーツはどれだ?を徹底的に調べたメタ分析の話
果物が脳に良いのでは?って話は昔から多くて、このブログでも「コンコードジュースを飲めば頭が良くなるかもしんないぞ」みたいな話を書いたことがありました。果物に含まれるポリフェノールが、認知機能に良い働きをしてくれるっぽいんですよね。
ただし、これまで取り上げてきたデータは個別のものばかりなので、正直なところ、「果物でどれぐらい頭が良くなるの?」って問題の答えはまだ未知数だったりします。また、具体的にどのフルーツがどれぐらい良いのかってあたりも不明な点が多くて、「まぁいろんなものを適当に食べておくか」ぐらいの結論に落ち着いてたんですよ。
が、このたび「果物と脳」に関するメタ分析(R)が発表されまして、これがなかなかためになる内容になっておりました。ちなみに、この論文の前段によると、過去のメタ分析では、「果物と野菜を食べる量が1日100gずつ増えるごとに、認知に障害が起きるリスクが約13%減る!」って結論が出てるとのこと。今回の分析では、ここから「果物だけで脳の健康はどれぐらい改善するのか」をチェックしてくれたわけです。
この調査では、16件のデータをレビューの対象に、11のデータをメタ分析の対象としてピックアップ。ベリー系、チェリー系、かんきつ系フルーツが脳におよぼす効果をまとめてくれております。なんでこの3種類かと言いますと、フルーツのなかでも割とポリフェノールが多めなのと、過去の研究例が多いからです。
また、ここで調査の対象になったのは高齢者がメインで、参加者の平均は65歳ぐらい。そのうち、ジュースを使った研究が9件、フルーツの粉末を使った研究が6件,冷凍フルーツを用いた研究が1件って内訳になっております。ジュースについてはだいたい1回あたり400mgを飲み、粉末は1回50gぐらいを摂取してる感じです。
で、分析の結果は以下のようになりました。
- ブルーベリーを使った研究は、わりと結果がバラバラだったりするものの、全体的に見れば、脳の働きに対して良い効果が報告されている感じ。
- ブドウについても、いろんな脳の機能を改善するって報告が多く、特に実行機能も改善するってデータもあるのが美味しい。ただし、報告されている効果量については、小・中・大という3つがいずれも存在しているため、どれぐらいのメリットがあるのかを決めるのは難しい。
- チェリーについては、わりと効果が大きく出ている。ざっくり見てみると、中から大ぐらいの効果量を報告したデータが多いので、もしかしたら一番効果を期待できるかも。ただし、実行機能には目立った効果が見られなかったとの報告もある。
- クランベリーについては、残念ながら統計的に有意な効果の報告はなし。
- オレンジジュースについても、たぶんそこまでのメリットはなさそう。
- グレープフルーツジュースについても、たぶんそこまでのメリットはなさそう。
ってことでして、「このフルーツをどれだけ飲むのが最適!」みたいなことは言えないものの、今回の結果を見る限りでは「チェリーかブドウがいいのかなぁ……。そこに一歩遅れてベリー類が続く感じかもなぁ……」ぐらいのイメージっすね。
ちなみに、チェリーってのは、過去のデータでもかなり良い報告が多くて、
といった感じで、脳の他にも、睡眠、運動などの改善に役立ってくれそうなんですよ。もっとも、これらの研究では、大半がタルトチェリーっていう酸味の強い品種を使っていて、日本ではほとんど栽培されていないのが残念なところです。
現時点で手軽にタルトチェリーを摂取するなら「パーフェクトタルトチェリージュース」を飲むのがベストだとは思うものの、価格が高いので、これだと続けづらいんですよねぇ。いちおうタルトチェリーを濃縮したサプリとかもあるんですが、たいていのデータは「サプリより実際の果物を摂取するのがベストだ!」って結論なんで、こちらも困っちゃうところです。
まぁ次善の策として「コンコードグレープジュース」ならまだ安価なので、こっちを選んでみるがいいかなーって感じがしますが。