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運動で体力をつけると本当に子供の成績はアップするのか?を調べた神戸大学研究の話

 


運動は脳に良い!とはよく聞く話で、ほぼ間違いのないところ。ただ、ここで難しいのが「運動をすると学校の成績は上がるの?」って問題でして、「心肺機能や筋力が高い子供はテストの点数が良い!」って報告(R)があったかと思えば、「子供たちに運動をさせても成績が上がらなかった!」みたいな報告(R)もありまして、本当のところがどうなのかはよくわからないんですよね。

 

 

そこで、上記の食い違いがどこにあるのかを調べるべく、神戸大学などのチームが日本の中学生を対象に研究(R)をしてくれておりました。どんな調査だったかと言いますと、

 

  1. 469名の中学生に2年間の追跡調査を行う

  2. みんなの持久力・苦手科目・得意科目の成績を調べて関係性を調べる

  3. 生徒たちの体型、親の学歴や収入などの影響を取り除く

 

みたいになってます。ここで新しいのは、生徒たちの苦手科目と得意科目を調べてるところでして、つまり研究チームは「運動と成績のデータが食い違ってるのって、生徒たちの初期の成績の違いが影響してるのでは?」と考えたわけです。確かにありそうな話っすね。

 

 

そこでどんな違いが出たかと言いますと、

 

  • 中学1年生から中学3年生にかけて体力が向上(=心肺機能がアップ)すると、苦手科目の学業成績が改善する
  • 一方で、中学1年生から中学3年生にかけて体力が向上しても、得意科目の学業成績は改善しない
  • 体力アップで苦手科目の学業成績が改善するのは、学校外の勉強時間が増えるからではない

 

だったそうです。体力が上がると苦手科目の成績は上がるけど、得意科目には影響しないかもしれないんだ、と。うわー、不思議。

 

 

なんでこういうことが起きるのかは謎ながら、研究チームいわく、

 

いくつかのRCTでは、心肺機能の向上につながる身体活動の増加が、前頭前野の実行機能を改善し、学業成績との双方向の関係を示すことが示されている。実行機能は、持続的注意や学業意欲に重要な機能を持っていると考えられている。

 

推測ではありますが、体力が向上することで、学習への集中力などの授業態度が改善され、加えて学習意欲が向上することで、総合的に最低GPが向上したのかもしれない。

 

とのこと。実行機能はこのブログでもおなじみの単語でして、脳が決断を行うときに使う機能を意味しております。この機能が高い人ほど集中力があり、モチベーションも高い傾向があったりするんですよ。研究チームがおっしゃるとおり、運動で実行機能が改善するって話は多く、そのおかげで授業への取り組み姿勢が良くなったのではないか?と考えられるわけですね。

 

 

それでは、なんで得意科目の成績が上がらなかったのかが気になるところですけど、この問題については以下のように推測しておられます。

 

(得意科目については)ベースライン時から参加者のモチベーションが高かった可能性がある。

 

要するに、得意科目はもととも学習への意欲が高い生徒が多かったので、実行機能によるモチベーションアップの効果が得にくかったのではないか?みたいな話ですね。もちろん観察研究なんで明確な因果はわからないものの、「苦手科目に効くかもしれないならやっぱ運動しよう……」とは思わされますな。

 

 

ちなみに、実行機能に効く運動法については、近年は普通のランニングや筋トレみたいな単純なエクササイズではなく、ドイツで生まれた「コーディネーショントレーニング」のほうが有効だと考えられております。これは脳神経と肉体の連携を発達させるために生まれた手法で、くわしく知りたい方は「サッカーのコーディネーショントレーニング 」などを参考にされると良いかもしれません。


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サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。