今週半ばの小ネタ:ビタミンDでニキビ改善、レーザーでハゲ改善、ビタミンCで色素沈着改善
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
ビタミンDサプリでニキビが改善するかも?のメタ分析
昨日もニキビについて書いたばかりですが、新たに「ビタミンDサプリが改善に役立つかも?」ってメタ分析(R)が出ておりました。もともとビタミンDは免疫システムの働きに関わってるんで、こいつが不足すると皮膚の炎症が悪化しちゃう可能性があるんですよ。
ってことで本研究では、ビタミンDの欠乏とニキビの関係を評価してくれていて、ニキビ患者の血中ビタミンD濃度とビタミンDサプリの有効性を報告した14件の研究を対象にしてます。
で、分析の結果を見てみると、こんな感じです。
- 体内のビタミンD濃度が普通のグループと比べて、ニキビ患者のビタミンD濃度は低く、その差は平均7.66ng/mLだった
- ビタミンD欠乏症(≦20ng/mL)の人とそうでない人を比較すると、欠乏症の人はニキビに悩む確率が46%高かった
- ビタミンDをニキビ治療に用いた研究は2件のみなので統計的に分析はされていないが、ビタミンDサプリを飲んだグループは、ビタミンDサプリを飲まなかったグループに比べて高い効果が見られたとのこと
ということで、まとめて見ると「ビタミンDサプリがニキビ改善に役立つかは不明だが、体内のビタミンD量が足りないとニキビの発生率は上がる」ぐらいのことは言えそうであります。いまニキビに悩んでいて、日中にあまり太陽の光を浴びない人は、そこらへんから改善してみるといいかもしれません。
ハゲにレーザーが役立つかも?というテストの話
近年、男性型脱毛症(AGA)の治療法として注目されているのが「低出力レーザー治療(LLLT)」であります。低出力のレーザーを頭皮に当てて細胞を活性化させ、髪の成長を促進させるやつですね。
その効果については割と強い支持がありまして、日本皮膚科学会による「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」の2017年版でも、低出力レーザーが推奨されてたりします。推奨ランクは「B」でして、ミノキシジル(ロゲインとか)よりは下だけど、ペンタデカン(薬用毛髪力ZZとか)よりは上って感じ。
さて、新しい研究(R)も低出力レーザーの話で、AGAに対する安全性と有効性を評価してます。参加者はAGA患者47名(女性25名、男性22名)で、
- 1540nmのエルビウムグラス・フラクショナルレーザーを使い、2週間に1回ずつ20週間にわたって10回の治療を実施
- 治療前と治療後に頭皮の1x1cm2の毛髪数の変化を測定
- 治療結果はAGAのレベルを測る尺度で判定。また、皮膚科医が総合的な治療効果を評価し、参加者は治療に対する総合的な満足度を採点した
みたいな調査になってます。すると、結果は以下のとおりになりました。
- 治療前の状態と比べて、女性も男性も髪の毛の本数が大幅に改善された
- 皮膚科医による評価では、女性の68%、男性の45%に全体的な髪の成長の改善が確認された
- 参加者の満足度評価では、76%の女性と72%の男性が「治療に満足した」と回答した
ということで、低出力レーザーは安全性が高く、男女を問わずに効果が見られるナイスな手法と言えそうであります。まぁこの試験だけだと治療が終わった後の脱毛を防ぐかどうかはわからないものの、私も予防のためにやっとこうかしら……。
皮膚や歯茎の色素沈着にビタミンCは効くか?
コラーゲンの生成など、ビタミンCが皮膚の健康に多くの役割を果たしているのは周知の事実。このブログでもビタミンCと美肌の関係について書いたことがありましたが、新たなデータ(R)では、ビタミンCが日焼けなどによる色素沈着(黒い斑点やシミ)を防ぐ可能性があるんだそうな。
この研究は、 7つの研究(1つのRCTと6つの実験的研究)をまとめた系統的レビューで、皮膚と歯茎の色素沈着に対するビタミンCの効果を調査。それぞれの研究では、歯肉には注射または外用ジェル、皮膚には経口サプリまたは外用クリームや美容液が使われております。
で、結論はこんな感じでした。
- 7件の研究すべてにおいて、ビタミンCが皮膚や歯茎の色素を改善したと報告されていた
- ただし、4件の研究では盲検化やランダム化が行われていなかったため、バイアスリスクが高いと考えられる
ということで、ビタミンCは色素沈着の改善に有効かもしれないんだけど、いまの段階ではもうちょい様子を見たほうがいいのかも?ぐらいの印象でしょうか。個人的には、色素沈着にはおとなしくレーザー治療をするのが良いように思いますが、ビタミンCも候補のひとつぐらいに考えておくといいかもしれません。