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有酸素 vs 筋トレ論争に決着。最新メタ分析が示す、“最も脂肪が減る運動”とは?

 
 

「脂肪を落としたいなら有酸素!」「いやいや、筋トレこそ最強!」みたいな論争はもう何十年も続いてるんですけど、2025年に出た最新のメタ分析(R)が、この論争に冷静な結論を出してくれていて非常にナイスでありました。


この研究は、36件のランダム化比較試験(RCT)から1,500人超のデータをまとめたもので、

 

  • 有酸素運動(AT)
  • 筋トレ(RT)
  • 両方を組み合わせたトレーニング(CT)

 

のなかで、「どれがどれぐらい脂肪を燃やしてくれるのか?」ってポイントをガッツリ比べてくれたんですよ。ありがたいですなぁ。

 

で、細かいところをすっ飛ばして、まず結果をざっくり申し上げますと、こんな感じになります。

 

  • 有酸素が最も脂肪が減るが、そのぶんだけ筋肉も減る

  • 筋トレでは脂肪は減りづらいが、筋肉は守ってくれる

  • 有酸素+筋トレは、ちゃんと脂肪を減らしてくれると同時に、筋肉を維持してくれるのでバランスが良い

 

つまり、「有酸素と筋トレのどっちが勝つか」じゃなくて「両方やるのが最強!」という「まあそうですよねー」ってのが結論になりましょう。結局そうかーと思った人が多いかもですが、このメタ分析はもう一歩踏み込んで「なぜそれが効くのか?」まで掘ってくれてるのがありがたいところであります。

 

 

なぜ筋トレ+有酸素運動の“両方”が効くのか?

では、結局は「筋トレと有酸素運動が良い理由」をチェックしてみましょう。あらためておさらいしておくと、私たちが体脂肪を落とそうと思ったら、とにかく「消費カロリーが摂取を上回ること」を目指すしかないわけです。

 

この点では、やはり有酸素運動のほうが間違いなくエネルギー消費が多く、1時間走れば400〜600kcalは消してくれますからね。ただし、一方では副作用もありまして、有酸素運動だけだと筋肉が削られてしまい、そのせいで基礎代謝も下がってリバウンドリスクが高まるんですよね。

 

他方で筋トレってのは、脂肪燃焼効率はやや低いけど、筋肉を守る(あるいは増やす)効果がデカいのが良いところ。筋肉が残れば基礎代謝をキープできるので、ここが「痩せやすい体」を作るのに役立ってくれるわけです。ってことで、それゆえに、この2つを組み合わせたトレーニング(いわゆる「コンカレント・トレーニング」)こそが、脂肪を減らしつつ筋肉を守る最も現実的な戦略だと言えるわけっすね。

 

でもって、さらに細かくデータを見てみると、「コンカレント・トレーニングを10週間以上も続けたグループほど、体脂肪と内臓脂肪がより大きく減っていた」とも報告されてまして、ちゃんと効果を出すためには少なくとも2〜3ヶ月は続ける覚悟が必要っぽいですな。しかも面白いのが、有酸素と筋トレを「同じ日にやっても」「別々の日にやっても」結果は変わらないって報告も出ているところで、要は「時間のある日にまとめてやってもOK」ってことですね。別に細かくスケジュールを分ける必要はなく、とにかく“続けられる形でやる”ことが最強ってことなんでしょうな。

 

 

 

現実的なプランを考えてみよう!

それでは、上記の知見をふまえまして、どんなメニューが理想かを考えてみましょう。このメタ分析を踏まえると、おそらく以下のようなスケジュールを組むのが良いのではないかと思うわけです。

 

  • 週2トレーニングの場合
    • 火曜日:筋トレ(全身サーキット方式)+有酸素20分
    • 土曜日:筋トレ(上半身+体幹)+HIIT10分

 

  • 週3トレーニングの場合
    • 月曜日:筋トレ(下半身+体幹)+有酸素20分(バイク or ジョグ)60分
    • 水曜日:筋トレ(上半身)+HIIT10分45〜60分
    • 土曜日:有酸素40分(ウォーキング or クロストレーナー)40分

 

  • 週4トレーニングの場合
    • 月曜日:筋トレ(下半身)+有酸素20分
    • 火曜日:筋トレ(上半身)+HIIT10分
    • 木曜日:軽い有酸素40分(ウォーキング/クロストレーナーなど)
    • 土曜日:全身トレーニング+有酸素20分

 

  • 週5トレーニングの場合
    • 月曜日:筋トレ(下半身)+有酸素20分
    • 火曜日:筋トレ(上半身)+HIIT10分
    • 水曜日:軽い有酸素40分(回復メイン)
    • 金曜日:筋トレ(下半身+体幹)
    • 日曜日:有酸素60分(ロングウォーク or ゆるジョグ)

 

この時、おそらくは「筋トレ→有酸素」の順で行うと筋肉維持のメリットが活かしやすいのでお勧め。脂肪燃焼を最優先したいときは、「有酸素→筋トレ」の順番でもOKであります。

 

ってことで、このメタ分析を見てみますと、「どの運動をするかよりも、どれだけエネルギーを使って続けられるか」のほうが大事でして、

 

  • 有酸素だけでは、体重は落ちても見た目がやつれる。

  • 筋トレだけでは、筋肉は残っても脂肪はしぶとい。

  • でも両方を合わせれば、「引き締まって健康的な体」に近づける。

 

って3つのポイントを押さえておけば問題はないでしょう。とにかく、「有酸素+筋トレ+10週間の継続」が最強ってことで良いのではないでしょうかー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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