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「糖質制限で基礎代謝が激しくアップする!」はどこまで本当か?

Carb

 

糖質制限をすると基礎代謝があがって、いままで同じ量を食べても太りにくくなる!という説があります。

 

 

基礎代謝は、日常の活動を行うのに必要なエネルギーで、たとえば寝たり本を読むだけでも消費されていくカロリーのこと。この機能が高いほど、運動をしなくても勝手にカロリーが使われていくので、食べても太りにくい体になるわけですね。

  

 

糖質制限で1日の基礎代謝が250kcalも上がる

では、糖質を減らすと、本当に基礎代謝はあがるんでしょうか?

 

 

そこで、まず参照したいのが2012年の有名な実験(1)。被験者たちを2つのグループにわけて、以下の食事を4週間にわたって実践してもらったんですね。

 

  • 1日の糖質量を総カロリーの10%にする(スーパー糖質制限)
  • 1日の糖質量を総カロリーの60%にする(高炭水化物食)

 

すると、スーパー糖質制限を行ったグループは、高炭水化物食にくらべて、平均で1日250kcalも基礎代謝があがったんだとか。だいたいキツめのウォーキング1時間ぶんのカロリーですね。すごい。

 

 

 

代謝があがる原因は実はタンパク質

その原因としては、インスリンの影響や糖新生などがよく言われるようなんですが(2)、どうにもこの説明が疑わしい。

 

 

糖質制限ダイエットの解説にありがちな6つの間違い」でも書きましたとおり、糖質を制限しても脂肪の代謝量は変わらないことがわかってますし、糖新生によるカロリー消費もさほどじゃないんですね。

 

 

で、そこで参考になりそうなのが、2015年1月に出たデータ(3)であります。

 

 

これは、25人の被験者を対象にした実験で、彼らを3つのグループにわけて、以下の食事を8週間にわたって実践してもらったもの。

 

  • 普段の食事+タンパク質を5%増やす
  • 普段の食事+タンパク質を15%増やす
  • 普段の食事+タンパク質を25%増やす

 

すると、たった1日で全員の基礎代謝が130Kcalもアップ!さらに、実験が終わるころには、タンパク質を25%増やしたグループは基礎代謝が260Kcalも増えていたとか。ちょっと前に、プロテインには食欲を抑える効果があるって話を紹介しましたが、どうやらタンパク質には代謝をあげてくれる働きもあるみたいですね。

 

 

ちなみに、この実験では、全員の炭水化物の摂取量がほぼ同じになるように、ちゃんと調整されております。つまり、糖質制限ダイエットで基礎代謝があがるのはタンパク質のおかげで、実は糖質の量って関係ないんじゃない?って話であります。

 

 

実際、「糖質制限ダイエットで基礎代謝が上がった!」と主張する実験をよく見ると、ほぼ間違いなくタンパク質の摂取量を増やしてるんですよね。糖質を減らしたかわりに、ちゃんとタンパク質を増やさないと意味がないってわけです。

 

 

まとめ

そんなわけで、たしかに糖質制限ダイエットは基礎代謝があがるものの、それはタンパク質を増やしたのが原因だってお話でした。以前に、「痩せたいだけなら『タンパク質カウントダイエット』が一番ラクなのでは?」って仮説を書いたことがあったんですけども、ますます正しい気がしてきました(笑)

 

 

ちなみに、具体的なプロテインの摂取法については、

 

 

あたりをご参照くださいませー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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