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ジェネレーションギャップは実は存在しない!たんに若いころは誰でも自己中心的なだけ

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「ゆとり世代は価値観が違う」みたいな話をよく聞きますが、2010年の大規模調査(1)を見てたら、実は世代ごとの価値観の差は存在しないらしい。

 

 

これは「自己愛過剰社会 」で有名なジーン・トウェンギ博士の研究で、1976〜2006年にかけて高校生を対象に行われた16,500人分のアンケートを統計処理したもの。調査を受けたのは

  • ベビーブーマー(1976年時に高校生)
  • ジェネレーションX(1991年時に高校生)
  • ミレニアル世代(2006年時に高校生)


の3つ。どの世代もアンケートに答えたのは高校時代なので、同じ年齢のときに各世代がどんな価値観を持ってたかを比較できるわけですね。

 

 

その結果は三世代ともほとんど同じで、

  • 全員が仕事に対して「やりがい」「学びの機会」「興味」に高い得点をつけた
  • 全員が「賃金」「昇進」「ステータス」については中程度の得点をつけた
  • 大半は「仕事に社交や休暇は求めない」と回答した


といった感じだったらしい。どうも仕事に関しては世代間の差はないみたい。

 

 

研究者いわく、

すべての世代は似た価値観を持っている。ただし、その表現方法が違うだけだ。


とのこと。つまり、どの世代も価値観は同じなんだけど、その時の年齢や経済状況などによって、周囲への対応が変わっていくんだ、と。ゆとり世代のように経済の低迷期に育てば、そりゃあ消費もひかえるし、金や昇進にガツガツしなくなるのは当然って話です。





似たような研究はほかにもあって、たとえば2010年の論文(2)。477,380人分のデータを統計処理したもので、1976〜2006年に生まれた各世代の性格の差をチェックしたんですね。

 

 

その結果は、やはり世代間の差はないというもの。ナルシスト度、個人主義のレベル、自尊心、孤独感、人生の満足感などは、どの世代でもほぼ同じだったそうな。

 

 

では、なぜ「若いものは価値観が違う」と言われがちなのかといえば、そもそも若いころは誰でもナルシストで自己中心的な傾向があるから。

 

 

これは多くの心理学者が賛成するところで、2010年のレビュー論文(3)でも「世代の差より年齢の違いのほうが影響は大きい」って結論になっております。つまり、自分も若いころは自己中心的だったはずなのに、すっかり忘れて「若いやつは価値観が違う!」と言ってるだけなんすな。

 

 

そんなわけで、世代間の話をするときは、価値観の変化よりも状況の変化に目を向けたほうがよさげ。わたしも「オレが若かったころは…」とか言い出さないように気をつけねば。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。