思い浮かんだことを20分だけ紙に書きまくればメンタルは改善する。免疫力もあがる
思い浮かんだことを紙に書きまくってメンタル改善
こんなご質問をいただきました。
「モーニングページ」についてどう思われますか?頭に思い浮かんだことを書くだけで創造性があがるというのですが…。
とのこと。恥ずかしながら「モーニングページ」を知らなかったんですが、どうも「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」って本で推奨されている方法みたいですね。
「モーニングページ」の方法は、朝に目が覚めたら、心に浮かんだものをノートの3ページに書きまくる、というもの。書く内容は、どんなバカなことでも、ヘンなことでもOKで、とにかく意識の流れをそのまんま書き写すのが大事らしい。ちょっと検索したら、「効果が出た!」みたいなページがいろいろ出てきまして、かなり支持の厚い方法みたいですね。
で、結論から言えば、それなりに効果はあるんじゃないでしょうか。残念ながら「モーニングページ」に関する実証研究はないんですが、「思い浮かんだことを紙に書きまくる」のがメンタルにいいってデータはかなり多いので。
紙に書くだけで免疫力まで上がる
その代表的な研究者は、テキサス大のジェームズ・ペネベーカー博士であります。ペネベーカーさんは、70年代から「自分の気持ちを紙に書くとメンタルが改善する!」と主張してきた人で、奥さんとの不仲が原因で自身が鬱病にかかったときも、早朝からタイプライターに自分の感情や思考を書きなぐったら、いつの間にか症状が治ってたんだそうな。これなんかは、「モーニングページ」に近い話ですね。
この現象について、博士は40年ぐらい研究を続けてまして、データもかなり増えてきております。たとえば代表的な実験(1)だと、博士は参加者を以下の2グループにわけたんですね。
- 1日20分、トラウマ体験を紙に書きなぐる
- 1日20分、平凡なことを紙に書きなぐる(昨日食べたものとか)
「トラウマ体験」については、ある女性は「子供のころに自分のミスで祖母が死んでしまった事件」を書いたり、ある男性は「5歳のころに父親から『お前を生んだのは間違いだった』と言われた体験」を書いたりと、とにかく精神的にキツかった体験を記してもらった模様。
その結果、どんな違いが出たかと言うと、
- 3日で鬱と不安の傾向が減り、より幸福度が増した
- 1カ月で血圧が下がり、免疫力が向上した
みたいな感じ。血圧や免疫といった具体的な数値にまで変化が出ているのがすごいですねぇ。
書くと「客観性」が鍛えられる
もちろん、これは「モーニングページ」とは異なる点も多々ありまして、
- 創造性アップではなく、メンタルの改善が目的になっている
- 別に朝じゃなくても効果はある(というか夜のほうが効果は高いかも)
などは大きな違いかと。まぁメンタルの健康と創造性には関連がありますんで、結果的に良いアイデアが出やすくなる可能性はありますが。
また、「モーニングページ」では、「好きに書くことで左脳の働きが抑えられて右脳が活性化!」みたいな説明がなされるようなんですけど、このあたりは疑似科学臭さがプンプンなので、読み飛ばしたほうが無難でしょうね。ペネベーカー博士の手法で効果が出たのは、あくまで紙に書き出すことで「客観性」が鍛えられるからであります。
このへんは、「嫌な気分から抜け出すコツは『感情に名前をつけてあげる』」や「自分を壁に止まったハエだと考えると怒りが消える」ってのと似た感じ。紙に書き出すことで自分の思考と距離が生まれて、激しい感情に振り回されにくくなるんですね。マイルドフルネスが不安に効くのも、同じような仕組みが働いております。
ペネベーカー博士の書きまくりメソッド
そんなわけで、「モーニングページ」が創造性アップに効くかは不明ですけど、おそらくメンタルには良いはずなので、毎日の習慣として行うのはアリじゃないでしょうか。
最後にペネベーカー博士のメソッドを紹介しておきますんで、気になる方はお試しあれ。
- 書く時間は20分
- 筆記用具はなんでもOK(PCでもよい)
- 感情的にキツかった体験を書きまくる(今日のことでも1年前のことでもOK)
- 文章のうまさなどは一切気にせず、心に浮かんだことをひたすら書きなぐるのがコツ
- 最低でも3日は続ける
- 気持ちを書いた時点で効果はあるので、書き終わった文章は捨ててもOK(もちろん保存してもOK)
また、ペネベーカー博士の本は邦訳もされてますんで、さらにくわしいとこを知りたければ以下をどうぞ。「こころのライティング」なんかは実践的でいいんじゃないかと。