ストレスホルモン対策に効く栄養、効かない栄養
食事でストレスホルモンを調整するには?
当ブログでよく名前が出るのが「コルチゾール」。副腎から出るストレスホルモンで、炎症を抑える大事な役目を持っております。
このコルチゾールは、1日単位で自然に分泌量が上下してまして、午前から昼にかけて高くなり、夜にかけて少しずつ下がっていく感じ。ところが、ずーっとストレスが続くと、コルチゾールの分泌が下がらなくなり、やがてカラダに破壊的なダメージをもたらすんだ、と。
以上がコルチゾールの基本でして、要は毒にも薬にもなる重要なホルモンであります。ざっくり言うと、
- コルチゾールが低すぎ=エネルギーが下がって、何もやる気がなくなる
- コルチゾールが高すぎ=免疫系が暴走して、カラダの老化が進む
みたいなイメージ。低くても高くてもカラダにはよくないので、適切なレベルを保つのは超大事であります。
といったところで、近ごろ出たレビュー論文(1)は、食事でコルチゾールをうまく調整する方法をまとめてくれていて参考になりました。
これはグダニスク医科大学のレビューで、研究者いわく、
現在では、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)のバランスを保つために、さまざまな栄養をふくむサプリが売られている。適切な食事を整えることは、幸福と健康、成功を左右する大事な要素のひとつだ。
とのこと。 自然なストレスホルモンのレベルを保つには、食事のコントロールが必須なんだ、と。そりゃそうですよね。
ストレスホルモンに効く栄養、効かない栄養
では、論文のポイントはどこかと言いますと、
1.ちゃんと炭水化物は食おうね(とくに運動をする人は)
コルチゾールのメイン機能のひとつは、「低血糖状態」をふせぐことであります。だもんで、特にエクササイズの前後などには、ちゃんと糖質を取っておくのが大事。
いちおうケトジェニックダイエットで低血糖を防ぐって裏ワザもありますが、そこまでして糖質を避けるメリットもないかと思います。
2.タンパク質は多すぎても少なすぎてもNG
もっともコルチゾールバランスを乱すのは、タンパク質の摂り過ぎ+脂質の不足+糖質の不足の組み合わせ。肝臓がアミノ酸からエネルギーを作り出そうとするんで、カラダに大きな負担がかかってしまい、結果としてコルチゾールが高止まりするですな。
そんなわけで、ちゃんと糖質を摂るのは前提として、タンパク質は多すぎても少なすぎてもNG。具体的には、、以前に「タンパク質はどれだけ摂ればいいのか?」で紹介した「体重(kg) × 1.6g」量を目指すのがよいかと思う次第です。
3.効くサプリと効かないサプリ
研究者いわく、
とのこと。このあたりのサプリは、トレーニング時のコルチゾール調整には意味がなさそうであります。
いっぽうで、効果が出ているのが「トリプトファン」。セロトニンの材料になる物質で、コルチゾールの上昇をうまく食い止めてくれるそうな。特にエクササイズ後の服用が効果的とのこと。
また、似たような仕組みでコルチゾールを調整してくれるのが、「ホスファチジルセリン」と「ホスファチジン酸」。こちらは、脳のストレス反応を鎮めてくれる働きがありまして、ほどよくコルチゾールを抑えてくれるんですな。
仕事で精神的なプレッシャーが多い方などは、ホスファチジルセリンを1日400mgぐらい飲んでみるのもアリであります。
4.効くビタミン効かないビタミン
ビタミンがコルチゾールの調整に効くかは、正直、まだよくわかっておらず。実験によってバラバラな結果が出てまして、ハッキリとしたことが言えないんですね。
そんななかで見込みがありそうなのは、
- ビタミンC(500〜1,000mg)
- ビタミンE(400IU)
- ビタミンD(2,000IU)
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ナイアシン
- マグネシウム
あたり。ただし、ビタミンCとビタミンEに関しては、抗酸化力が高いせいでエクササイズの効果を打ち消してしまうって報告もあるのでご注意ください。食事でちゃんと摂っておけば、無理してサプリで飲むまでの必要はないかも。
個人的には、普段の生活で不足しがちなビタミンDとマグネシウムを飲むのがいいかなーと思いますが、なにせコルチゾールとの関係についてはデータ不足なので、あくまで参考までに。
まとめ
そんなわけで、ストレスホルモン対策に効きそうな栄養の話でした。言わずもがなですが、以上のポイントを守っても、睡眠不足だったりストレス過多だったりすれば無意味なので、そちらも合わせて対策を講じてくださいませ。