社会的なランクが下がるほど病気に弱くなるかも?
社会で認められると免疫も強化される?
社会的な階層が低いと免疫システムが弱る!ってデータ(1)が面白かったんでメモ。収入が高かったり、世間に認められるような仕事についてる人は、免疫系も強いかもよって話であります。
といっても、ヒトを対象にそんな介入ができるはずはないので、もちろんこれはサルの話。遺伝子がかなりヒトに近いことで有名なアカゲザルを使った実験になっております。カロリーリストリクションの研究でも有名っすね。
サルたちのヒエラルキーを人工的に操作
で、この実験は45匹のアカゲザルを対象にしたもの。それぞれのサルをいろんなグループのなかに紛れ込ませて、人工的に社会的なヒエラルキーをコントロールしたんですな。当然、新参者のサルほど、そのグループ内では「身分が下のヤツ」として扱われるわけであります。
その状態で、9つのグループの階層を組み替えつつ、サルたちの状態を1年にわたって観察。さらにサルたちの血液サンプルを調べて、免疫システムの働きもチェックしたんだそうな。すごい実験ですな。
社会的なランクが下がるほど病気に弱くなる
それで何がわかったかというと、
- グループ内でのランクが低くなるほど、バクテリアに感染した際に体内の炎症が増加!
- ランクが高くなるにつれ免疫システムが強化!
って傾向がハッキリ出たそうな。しかも、グループ内のランクが変わるたびに、免疫系に関する1,600の遺伝子に変化が起きたというから恐ろしいもんです。
栄養状態が良くても社会的なランクが下がっただけで免疫にダメージが
研究者いわく、
アカゲザルは進化的にヒトに近い生き物だ。そのため、今回の結果は、社会的なステータスがヒトに与える影響と関係があるかもしれない。
とのこと。ちなみに、この実験ではサルたちの食事などもコントロールしてまして、どうやら栄養状態などどは無関係に、社会階層が下がっただけで免疫システムが悪化するらしいですな。
これがどこまで人間社会に反映されるのかはわからんですけど、日本でも東大とかが「社会階層と健康格差」をやってて、所得が低くなるほど発病率が高くて寿命も短いなんて結果は出ております。
一般的には栄養バランスや生活習慣で語られがちな話ですが、実は社会階層が低くなるだけでも体にはダメージが出てるのかもですねぇ。