勉強のスタート時間を30分遅らせるだけでも睡眠は激烈に改善するぞ!みたいな話
睡眠が足りないと頭が悪くなるのは周知の事実で、最近は「いかに学生に眠ってもらうか?」なんて研究も進んでるわけです。
といったところで、JAMAに出てた論文(R)では「シンプルに始業時間を30分だけ遅らせろ!」って解決策を提案してておもしろいです。まずは研究チームの問題意識から紹介すると、
現代の学生は総じて睡眠が足りておらず、肥満、過度の飲酒、喫煙、ドラッグの使用、学習成果の低下といった結果をもたらしている。
だそうで、とにかくいまの若者は寝てなさすぎだ!みたいな話ですね。思えば学生時代の私もそんなもんでしたが。
そこで研究チームは201人の高校生を集めて、2つのグループにわけてます。
- いつもどおりの始業時間に学校へ行く
- いつもより30分遅れで学校に行く
ってことで、始業時間を遅らせたグループは、いつもは8時に学校に行ってたのを8時半登校にしたんだそうな。どんなガッツリと遅らせたわけでもないんですね。
ただし、その効果にはなかなかすごいものがありまして、しばらく学生の変化を追いかけたところ、以下のような結果だったらしい。
- 行動の変化
- 総睡眠時間が平均45分増加!
- 39%の学生が8時間以上の睡眠に成功!(8時スタートグループは16%)
- 7時間以下しか寝てない学生が27%減!(8時スタートグループは34%)
- 感覚の変化
- 日中の眠気が60%改善!
- 日中の疲労感が24%改善!
- 幸福度が21%改善!
始業時間を30分遅らせただけで睡眠が改善し、モチベーションもアップしたわけっすね。これはかなり良い成果じゃないでしょうか。
ちなみに、この研究チームは2014年にも追試(R)をしてて、こちらは「始業時間を25分遅らせたらどうなるの?」という問題をチェック。その結果、総睡眠時間は29分増えて、8時間以上の睡眠をとれた学生の割合が18%から44%に増えたそうな。結構、劇的といっていいレベルっすね。
これらの研究を受けて、近ごろは名だたる教育機関も「始業時間を遅らせたらどうかね!」と言いはじめてて、たとえばアメリカ睡眠医学会なんかは、
中学や高校の始業時間を8時半に変えるのは、すべての学生を健康にし、注意力を上げ、学習効率をあげるようだ。
と報告しております。こうしてみると、学校だけじゃなくて企業の始業時間も遅らせたら良い効果が出るのかもですなぁ(たんに夜更かしが加速する可能性もありますが)。
まぁ普通の会社員や学生さんが始業時間をコントロールするのは難しいかもですが、
- 30分ほどの介入でも睡眠にはかなりの効果がある
- 自由業の人は始業時間をいろいろいじってみるといいかも
といったポイントは押さえておくのがよさげっすねー。