宗教は健康とメンタルに良いが、無宗教な人間が同じメリットを得られるにはどうすりゃいいのか?みたいな話
宗教は健康にいいし人生の満足度も高める!って話は昔からあって、ハーバード研究なんかでは「信心深い人は33%も長生き!」なんて結果が出てたり、スピリチュアルな悩みに取り組むと人生の満足度が上がる!みたいな報告も出てたりとか。
スピリチュアルが苦手な私には辛い結論ながら、なんか信じるものがある人のメンタルが安定しやすいってのは納得しやすいところではあります。科学の世界みたいに「明日は定説がくつがえるかも!」とか思いながら暮らすより安心感が強いっすもんね。
で、新しくドイツから出てきた研究(R)は、「宗教を使わなくても似たようなメリットは得られるよ!」って話になっててナイスでした。
これはマンハイム大学の研究で、74,966人の男女が対象。大きく3つの調査を行っていて、ざっくりした概要はこんな感じです。
調査1
- 被験者が日常的にどれぐらい「一体感」を感じているかをチェック
- 一体感と人生の満足度がどれぐらい関係してるかを比較
調査2
- 被験者が信じる宗教と、「一体感」のレベルをチェック
- 一体感と人生の満足度がどれぐらい関係してるかを比較
ってことで、どちらの研究も「一体感」(oneness)がテーマになっております。わかりにくい概念なんで、まずは論文の言葉を引用すると、
- 「この世のすべてはひとつの原理をベースに動いている」と感じている
- 「この世のものはお互いにからみあい、それぞれが影響を受けている」と感じている
みたいな感覚のことですね。研究チームいわく、
神聖なものへの同一感。人生や世界、他者との一体感。これらの要素は、かねてから宗教の世界では幾度となく議論されてきたテーマだが、近年では科学的なリサーチも進められてきた。
とのことで、一体感ってのは宗教を信じてない人でも大事なんじゃないの?ってことですな。
一体感とか言われると、スピリチュアル系がよく言う「宇宙との一体化!」とか「すべてはひとつなんだ!」みたいなフレーズが浮かんで身構えちゃう人もいそうですが、別に科学とも矛盾しない考え方だとは思います。物理の世界でもずっと万物理論を探してるし、生物の世界が相互依存なのは当たり前ですからねぇ。
では、一体感が強い人はどんな傾向があったかと言いますと、
- 基本的に人生の満足度が高い!
- 勉強もよくできる!
- 歳を取ってからの健康度も高い!(これは従来の研究とも呼応するポイントですな)
だったそうで、いろいろメリットがあった模様。 こりゃあよろしいですな。
で、個人的におもしろいポイントは、こんな感じです。
無神論者は一体性の感覚がもっとも低かったが、これは驚くようなことではない。本当に驚くべきは、宗教によって得られるメリットが、一体性の感覚で調整すると消えてしまうところだ。
つまり、別に宗教やスピリチュアルを信じてなくても、一体感さえ持っていれば似たようなメリットは得られるんじゃないの?ってことです。
ちなみに、研究チームのプレスリリースでは、こんなことも言っておられました。
さまざまな哲学や宗教の世界では、「一体性」が中心的なアイデアのひとつだ。私も自由時間にはサーフィンを楽しみ、カポエラや瞑想、ヨガの練習をするが、これらの活動はすべて人生や自然と一体化をうながし、没頭の感覚によるフローの体験をもたらすと言われている。
果たして「一体性」の考え方は、宗教の世界だけで通じるアイデアなのか、それともヒトの人生一般に影響する普遍的なものなのだろうか? 今回の結果は、宗教的な信念を調整したあとでも、「一体性」を信じる者は人生の満足度が高まる事実を示した。
私のように無宗教な人間でも、どうやら相互依存性さえ感じていればよさげであります。以前にも「科学への信頼感で人生の満足度が高まる」みたいな話はありましたし、そこらへんは合理性の感覚ともなじみそうですしね(心理的なメカニズムは違いますが)。