今週末の小ネタ:運動しすぎで衝動的に、IQが高いとよく眠れる、高血糖の脳ダメージ
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
運動をしすぎると衝動的な人間になるかも?
運動のしすぎはよくない!ってのは皆さまご存じのとおりですが、新たに「オーバートレーニングで衝動的になるかも!」って話(R)が出ておりました。
これは37人のアスリートを対象にしたテストで、週に10時間以上のトレーニングをしてる体力自慢を集めたらしい。実験では全体を2グループに分けて、
- 普通のトレーニングをする
- 過度なトレーニングをする(いつもの負荷の140%)
って感じで3週間の運動を続け、その上でfMRIなどのテストをして違いを見たんだそうな。
その結果をざっくりまとめると、
- 運動をしすぎたグループは、うつ症状の点数には差がなかったが、倦怠感が激しく増した(3.78±0.98 vs 0.21±0.74)
- また、運動をしすぎたグループは衝動性が上がり、経済的なテストでも軽はずみな選択をしやすかった。実際、fMRIでも外側前頭前野の活性が低下していた
だったそうな。運動のしすぎでダルさが増すのは当然ですけど、さらに衝動的な行動を取りやすくなるわけですね。
この現象は、おそらく運動しすぎで脳も疲れちゃって、おかげでセルフコントロールが効きづらくなるんだろうとチームは考えておられます。あくまでアスリートが対象なんで、一般人にどこまで適応できるかは謎ですけど、疲れのせいで衝動性が増すってのは普通にありそうな話ですね。
IQが高い人はメンタルが健康で睡眠の質も高い
IQが高い人ほどメンタルの問題が低い!って話(R)が出てて、ごく平凡なIQしか持たない私としてはガッカリしたりしました。
これは5,793人を数十年にわたって追跡した研究でして、ざっくり結論をまとめちゃうと、
- 若いころにIQスコアが高かった人は、スコアが低かった人と比べて、50歳になっても全体的にメンタルが健全だった
- さらに、IQが高い人はうつ症状が少く、さらには中年になってからも睡眠の質が高かった
- IQとメンタルヘルスの関係は男女を問わず確認された
みたいになってて、どうもIQは中年のメンタルを保護する効果を持つかもしれないらしい。睡眠の質まで高いってのは、うらやましいですな(メンタルが健康ならよく眠れるのは当然かもしれませんが)。
チームいわく、
知能が高い人は、メンタルヘルスのリテラシーも高いのかもしれない。
知能が高い人は、自分のうつ病の症状をより明確に認識することができ、それが診断やアドバイスを求めて医師に相談する動機づけになるかもしれない。
とのこと。IQがなんでメンタルヘルスと相関するのかはわからないですけど、たぶんIQが高いと「いま自分はメンタルが悪いのだ!」と認識しやすいのではないか、と。ここらへんは謎が多いとこながら、私のような凡人は自分のうつ症状に気を配るのがよさそうっすね。
高血糖の脳ダメージってやっぱ怖いなぁ……という話
昔から糖尿病は認知症と関連するって話は多いんですけど、新しい研究(R)では、「糖尿病の人の脳機能を向上させるには血糖コントロールがベストかも!」という結論になっておりました。
これは約1,100人の参加者を10年以上にわたって追跡したんですが、その際に、
-
ひとつのグループは、食事と運動で血糖値を改善するように指示された
-
もうひとつのグループは、ダイエットと減量の維持を頑張るように指示された
みたいな違いを作り、どんな効果が出るのかを見たものです。
その結果、どんな違いが確認されたかと言いますと、
- 食事と運動で血糖値を下げるようにがんばった人たちは、より思考がクリアになり、記憶力もよかった
- 体重を減らしても脳機能の改善には直結せず、注意力、記憶力、計画性などの改善とは相関していたが、言語学習や全体的な記憶力は逆に悪化していた
だったそうです。血糖値のコントロールが脳に大事なのはよくわかりますけど、ダイエットに一貫した効果が見られなかったのがちょっと意外。もしかしたら、肥満の脳ダメージは想像以上に大きいってことなのかもしれませんが、ここらへんは謎ですね。
チームいわく、
糖尿病による脳への悪影響を避けるには、血糖をコントロールすることが重要だ。少し血糖をコントロールするだけでも、認知の向上と相関していた。
とのことで、もちろん肥満の解消も大事ながら、やはり血糖のコントロールが大事なのかなーってとこですね、