どんな目標でも「やり遂げる」にはどうすりゃいいの?をシカゴ大学の先生が語っておられます#2「中盤は誰でもモチベが下がる」
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「やり遂げる(Get It Done)」って本のポイントまとめの続きでーす。本書は「モチベーションを維持して目標を達成する方法」を行動科学ベースで手際よくまとめてくれてまして、どんな人にも参考になるんじゃないかと(前回のまとめ)。
ポイント3. 中盤は誰でもモチベが下がるから気をつけよ!
どんなプロジェクトでも中盤には悪魔が潜む
- どのようなプロジェクトでも、多くの人は中間のプロセスでモチベーションが下がりがちになる。これは、誰もが始まりと終わりにばかり注目してしまい、中間のプロセスを平凡で退屈なものと捉えるからである。このような時期には、熱意やモチベーションを維持するのが最も難しくなる。
- 博士自身が行った研究では、参加者にハサミを渡して「5枚の紙を指示した形に切り抜いてください」と指示したところ、みんな最初の1〜2枚はキレイに切ったが、3枚目は急に雑になり、5枚目になるとまたキレイに切り始めた。
このようなことが起きたのは、やはりみんな真ん中よりも始まりと終わりに注意を払い、途中で意識せずとも「手抜き」が起こるのだと思われる。
中盤の悪魔にどう対処するか?
- では、プロジェクトの途中でもモチベーションを保つにはどうしたらよいのか? 具体的には3つの戦略が考えられる。
1 中盤を短くする:「月単位の目標」よりも「週単位の目標」で細かくゴールを設定した方が、目標の始まりから終わりまでの時間が短いので、よりモチベーションが上がりやすい。
2 大きな目標をマイルストーンに分解:納期が遠い大きなプロジェクトがある場合、それを週単位に分割することで、気力が失われるのを防ぐ。「ミニ目標」と呼ばれる完成までのマイルストーンを設定する。
3 現在を始まりか終わりととらえなおす:例えば、「1日に16時間の断食期間を作るぞ!」と決めた時は、断食がスタートしてから8時間目の段階を真ん中だと考えるのではなく、「断食の序盤の終わり」と捉えるか、「断食の後半戦の始まり」だと考えてみる。
以上のように、とにかく「中盤」を長引かせないことが大事なので、すべてを「始まり」か「終わり」の一部に変換できないかを考えてみるとよい。
ポイント4. 進捗は必ず計測しておきたい
ゴールにどれだけ近づいているかを測定する
- 人間は「目標に向かって前進しているとき」にもっともモチベーションが上がるのは、過去に何度も確認されている。これは、前進によって「自分の努力が実を結んでいる!」ことを実感できるからである。
- 進捗を確認する最も簡単で早い方法は、ゴールにどれだけ近づいているかを測定することである。過去の研究では、「借金の完済が近づくほど返済スピードがある」「卒業証書取得に向けた最後のテストが近づくとみんな勉強する」「ネズミですら、チーズの香りが近い方が迷路をより速く走れるようになる」といった事実が明らかになっている。
終わりが見えないときの進歩の測定法
- といっても、世の中には、目標が遠かったり終わりが見えなかったりするケースも多い。例えば、アルコール依存症に苦しむ患者さんは、依存との戦いに明確な終わりがなく、勝利を宣言することが難しい。
- そんな場合は、スタートからの期間や行動の数をカウントするのが有効となる。アルコール依存症からの回復には終わりがないものの、複数の断酒会では、所属する会員に断酒した時間を表すチップを渡している。つまり、先を見るのではなく、始めた日から振り返って経過を観察するのが良い。
- 振り返って進捗状況を確認することで、私たちは目標のために費やし的たすべての努力と、その努力がどれだけの成果をもたらしたかを思い出すことができる。そうすることで目標に向かう決意が固まり、その価値をより一層高めることができる。
- 著者が行った研究では、シカゴのベーグル店で行列に並んでいる人たちに話を聞いたところ、以下の傾向が見られた。
- より多くの人が後ろに並んだ方が、客はよりおいしいベーグルを食べられそうだと思う。
- 自分の後ろの行列がどこまで続いているかを見た客は、いずれも食事をするのがより楽しみになったと報告している。
- 以上のことから、将来の目標が未確定であったり、終わりがほとんど見えない場合は、未来を監視するよりも、すでにやったことを振り返る方がモチベーションが上がると言える。
ポイント5. 「マルチファイナル」と「イクイファイナル」な行動を区別する
- 著者によれば、ゴールの達成法には、大きく分けて「マルチファイナル」と「イクイファィナル」の2パターンがある。
マルチファイナルな行動とは?
- 「 マルチファイナル」は、複数の目標を同時に達成する行動のことで、「一石二鳥」な動き方だと言える。例えば、以下のようなものがある。
- 「時間術」の本を読むことで、「時間をうまく使う」「リラックスタイムを得る」「月に1冊は本を読む」という複数の目標を同時に達成する
- 特定のサイトをブロックするアプリを使うことで、「生産性の向上」「SNSチェック時間の減少」という複数の目標を同時に達成する
- 料理を学ぶことで、「自炊で健康になる」「お金をセーブする」「友人を自宅に招く」という複数の目標を同時に達成する
- 一般に、マルチファイナルな行動は同時に複数の目標に向かって進むため効率性が高いが、いったん失敗すると別の手段を考えねばならないため、モチベーションが下がりやすい。
イクイファイナルな行動とは?
- 「イクイファィナル」は、一つの目標に到達するために複数の手段が存在する状態を意味し、「すべての道はローマに通ず」的な動き方だと言える。例えば、以下のようなものがある。
- 「金を貯める」という目標を達成するには、「自動的に定額を貯金する」「自炊をする」「もっと稼ぐ」などの行動がある。
- 「健康になる」という目標を達成するには、「運動をする」「食事の改善」「もっと寝る」などの行動がある。
- 一般に、イクイファイナルな行動は、同時に複数の手段が存在するためモチベーションが上がりにくい。ただし、複数の「バックアップ」オプションがあるため、いずれかの方法がうまくいかなかった場合に、目標達成へのコミットメントと可能性を高めることができる。
- マルチファイナルとイクイフィナルのどちらにもメリットとデメリットがあるため、自分に合った選択肢を選ぶのが非常に重要となる。複数の目標を達成する可能性を高めたいならマルチファイナルな行動を、一つの目標へのコミットメントを高めたいならイクイファイナルな行動を選ぶと良い。