高周波で脂肪を溶かす?エステで大人気の「キャビテーション」に効果はあるのか?
奥さんから「エステのキャビテーションって効くの?」と聞かれたので、ちょっと書いてみようかと。
あながちインチキなダイエット法ではない
キャビテーションは、数年前からアメリカで流行り始めたダイエット器機で、高周波で体脂肪を燃やすと言われる商品であります。最近は日本でもブームなんだそうで、確かにちょっと検索をかけたら「キャビで理想の美ボディ!」とか「1秒に100万回の振動で頑固な脂肪を集中刺激!」みたいなウリ文句が踊っておりました。
というと、いかにもインチキ臭そうなんですが、一部の商品はFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可も受けていて、根も葉もないようなシロモノではなかったりします。
研究の一例をあげると、8人の女性を使った実験(1)では、2時間の超音波キャビテーションにより2〜3mmほど脂肪が減ったとか。その仕組みはと言いますと、
- 超音波またはラジオ波の熱が脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに変える
- 脂肪酸が血中に流れ出して肝臓に向かう
- 肝臓で脂肪酸が代謝されてエネルギーに変わる
といった流れ。要するに、本来なら酵素が行っている脂肪分解の作業を、外側から熱の力で強引にやってるわけですね。もともと脂肪は温度の変化に敏感なので、この方法でもちゃんと分解は進むようであります。
もとから痩せてる人には向いてるかも
ただ、ここで注意したいのは、
- 結局は運動やカロリー制限をしないと脂肪は減らない
- 肥満度が高い人には意味がなさそう
って2点。当たり前の話ですが、せっかく脂肪を分解させても、それがエネルギーとして消費されなければ、使われなかった脂肪酸は元の体脂肪にもどるだけなんですね。つまり、いくらキャビテーションを行おうが、運動かカロリー制限からは逃れられないんですな。
また、肝臓が1日に代謝できる脂肪酸の量には上限がありますんで、もとから体脂肪が多い人がキャビテーションを行ってもムダになる可能性が大。どういうことかというと、
- 体脂肪が多い人(30%以上ぐらい?)がキャビテーションで大量の脂肪を分解させる
- 大量の脂肪酸が肝臓に送り届けられる
- 1日で処理できる脂肪酸の量を超えちゃって肝臓が大パニック
- 処理できなかった脂肪はもとにもどっていく
といった流れになっております。自分で掘った穴を自分で埋めてるようなイメージでしょうか(笑)
なので、キャビテーションが向いているのは、体脂肪率が低い人(女性の場合は20%前後ぐらい?)だけ。もとから痩せてる方が、お尻や太ももの頑固な脂肪を落とすための「もうひと押し」として使うぶんにはいいのかなーと思います。まぁ、それでも運動やカロリー制限が必須なのは変わらないので、そこに10万円をつぎこむかどうかは難しい判断ですが。
まとめ
以上の話をまとめますと、
- キャビテーションで脂肪は分解される
- ただし運動か食事制限が必要なのは変わらない
- 太った人が痩せるために使うのはムダな可能性が大
- もとから痩せてる人が使うのはアリかもしれない
- でも、個人的には高すぎると思う
といったところです。いずれにせよ、もともとの体脂肪率が25%以上の女性は、キャビテーションの前に普通にダイエットをしたほうが金をムダにせずにすむのではないかと。