ジュースクレンズが本当は体に良くない5つの理由
奥さんから「ジュースクレンズってどうなの?」と聞かれたので、ちょっと考えてみようかと。
ジュースクレンズがどんなもんかと言いますと、
●使うのはコールドプレスしたジュース
ジュースクレンズとは、新鮮な野菜や果物を「コールドプレス製法」という方法で作った100%ジュースを使ったデトックス方法のことです。
■ジュースクレンズは食事の代わりにジュースを飲むだけです。ジュース以外のものは口にできません。お腹が空いたらジュースを飲みましょう。
■ジュースクレンズの期間は、長くても3日間までとしましょう。リバウンドしないためにも3日間が終わったら、お粥などを食べて徐々に通常の食生活に戻していきましょう。
って感じ。アメリカのセレブの間で火が着いて、日本に輸入されてきたそうな。おなじみの流れですね。日本にも専門のショップがいくつかできたみたいなんですが、どのお店もジュースが1杯1,200円ぐらいしてビビりました。美容の世界は恐ろしい…。
で、結論から言えば、「やめておきなさい」としか。短期的には効果が出た錯覚が得られるかもですが、基本的には害の多い健康法だと思いますんで。
ジュースクレンズの問題点1 減った体重の大半は水分
ジュースクレンズだと1日の摂取カロリーが1,000にも満たないため、急なエネルギー不足におちいった体は、全身のグリコーゲンをどんどん使おうとします。
グリコーゲンは糖質がつながった構造をしてまして、緊急時のエネルギーに使われる重要な物質。こいつには大量の水分がふくまれてまして、グリコーゲンが減ると急激に体重も減っていくんですね。
グリコーゲンは筋肉や脂肪に溜め込まれてまして、2〜3日も低カロリー状態が続けば完全になくなっちゃう。つまり、ジュースクレンズを実践すれば「3日で5kg減った!」なんてことも普通にあり得ます。
が、別に体脂肪が減ったわけじゃないので、ジュースクレンズが終われば水分量がもどって体重もすぐに元通り。これで1本1,200円って!
ジュースクレンズの問題点2 筋肉が減る
ジュースクレンズだと1日の摂取カロリーが1,000にも満たないため、血糖値をキープするために筋肉の分解が始まります。2007年のデータ(1)によれば、だいたい絶食を始めてから16時間ぐらいで筋肉の分解が始まったとのこと。
ジュースクレンズの場合はもう少し分解スピードは遅くなるでしょうが、1976年の実験(2)だと、低カロリー状態では1日に約50gもの筋肉が減っていく模様。この現象は、タンパク質の量を増やせばある程度はふせげるんですが、ジュースクレンズは野菜とフルーツだけなので、筋肉の減少スピードもマックスになります。これで1本1,200円って!
ジュースクレンズの問題点3 免疫系がダメージを受ける
タンパク質は筋肉にとって重要なのはもちろん、免疫系が上手く働くためにも大事な栄養素。2006年の論文(3)によれば、極端な低カロリー状態が2日を超えたあたりから免疫系が弱くなり始め、傷の治りが遅くなっちゃったんだとか。当然、美肌を目指す女性にも悪影響でしょう。
いっぽうで、12〜36時間の範囲で行うプチ断食には逆に免疫系をブーストさせる効果があるので、極端なカロリーカットは最長でも1日半までにしときましょう。
ジュースクレンズの問題点4 そもそも「デトックス」の意味が不明
ジュースクレンズでは、やたらと「デトックスが!」「毒素が!」といった単語が飛び交うんですけども、いくら読んでも具体的な定義がわからなくて悲しくなります。
デトックスの問題点は「『デトックス』に意味がないことは5年前に証明されていた」に書いたとおりでして、要するに、
- どんな状態を「デトックス」と呼んでいるのかが不明
- 体内で解毒を行うのは主に肝臓と腎臓の役目である
という話です。本気でデトックスを考えるなら、酒や加工食品をひかえた、肝臓や腎臓に優しい食生活を心がけたほうが効果的かと。
ちなみに、とあるジュースクレンズの記事を読んでたら、「めまいや頭痛はデトックスの証拠!」みたいなことが書いてあってビビりました。単に栄養不足のせいだと思うんですが。
ジュースクレンズの問題点5 というか、科学的な効果を証明した実験が1つもない
以上のように、ジュースクレンズには害が多いことを示す間接的なデータはいろいろあるんですが、いっぽうでメリット を実証した研究は1つもないのが現状であります。ジュースクレンズを支持するサイトを見てますと、
- 体が軽くなった!
- 集中力が増した!
- 肌のツヤがよくなった!
といった効能が並んでますが、どれも個人の感想の範囲を出ていないと言えるでしょう。これに高いお金を払うは、個人的にはちょっと…。