コールドプレスジュースのほうが栄養を豊富にとれる!ってホント?
コールドプレスジュースに関するご質問をいただきました。
沢山の野菜・フルーツはとることが難しいので、毎朝人参とりんごや柑橘類をジューサー(シャープのヘルシオ)でジュースにしていただいています。
ですが、本当にこれで良い成分を吸収できるんでしょうか? 低速のコールドプレスなら栄養素を壊さない、栄養価の高いジュースを絞れるという触れ込みが多いですが、どうも科学的なデータや実験の裏付けがないか乏しいように思うのです。
とのこと。コールドプレスジュース、流行ってますねぇ。ウチの近所にも専門店ができましたが、1本1,000円以上もするジュースを買う人がそんなにいるもんなのかと。セレブすごい。
さてご質問の件ですが、おっしゃるとおりコールドプレスジュースには科学的な裏付けはありません。なにせ、いまのところコールドプレスと普通のジュースの栄養価を比べた実験はひとつもないんですよね。
なので、コールドプレスジュースに関しては「よくわからない」としか言えないんですが、それじゃあつまらないんで現時点でわかることをまとめておきます。
確かに一部の栄養は熱に弱いが…
コールドプレスジュース賛成派の意見をざっくりまとめると、
- コールドプレスは熱でビタミンを壊さない!
- 酵素とポリフェノールを無傷のままに体内に取り込める!
といった感じでしょう。コールドプレスは熱を出さないので、大事な栄養が損なわれないんだ、と。
まずは1つ目の「コールドプレスは普通のジュースよりビタミンが多いのか?」から。この問題についてはニンジン(1)やグレープフルーツ(2)を調べた論文があって、いずれも通常のジューサーよりコールドプレスのほうが優秀って結論になっております。
熱で栄養価が高まる食品も多い
が、そもそも「低温であれば栄養価が高くなる!」ってわけじゃないのがビタミンの難しさ。
たとえば過去のデータを見ると、ニンジンは生より加熱したほうがベータカロチンの吸収率が高くなったり(3)、熱を加えたトマトはリコピンの量が増えたり(4)しちゃうんですよ。食材によっては熱を加えたほうが体にいいケースも少なくないんですな。
つまり、コールドプレスジュースで栄養価が高くなるかどうかは食材次第。「コールドプレスジュースは熱が少ないから優秀!」って主張にはやや無理があるかと思います。
できれば野菜と果物はフルで味わいたい
続いて酵素についてですが、こちらは「なぜ酵素ドリンクにお金を払ってはいけないのか?」に書いたとおり。食品からとった酵素は胃でアミノ酸に分解されますんで、コールドプレスだろうが普通のジューサーだろうが無意味であります。
まぁ個人的には、そもそも食物繊維を取り除いちゃう時点で「もったいないなー」と思うんで、基本的にはジュースよりスムージー派。食物繊維がないと食事の満足度も下がっちゃいますし、できれば野菜や果物はフルで味わって欲しいなーと思っております。