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最高の家族を作るために必要なスキルとは?のメタ分析

 


 

「もっと人間関係が良くなればなぁ……」みたいな悩みをお持ちの方は多いでしょうが、そこらへんの問題に役立ちそうなメタ分析が出ておりました(R)。

 

 

これはロチェスター大学の調査で、人間関係に関する先行研究から174件を抜き出し、総計43,952人分のデータをカバーしてます。全体的にはACTとかマインドフルネスとか感情コントロールに関する研究が多い感じっすね。

 

 

この研究のメインテーマは、

 

  • 家族関係を良くするためにもっとも必要な要素とはなにか?

 

というものでして、「パートナーや子供たちと良い関係性を築くために一番必要なポイントってなに? IQの高さ? コミュ力? 交渉力? ユーモア? 」みたいなところを調べてくれてます。家族関係は生活のコアですから、そりゃあ改善しとくに越したことはないですもんね。

 

 

さて、そこでまず分析の結果をひとことでまとめると、

 

  • 良質な家族関係に欠かせないのは「心理的柔軟性」だ!

 

みたいになります。いろんな要素をより分けていくと、最終的に「心理的柔軟性」の重要性が際立ってたらしい。

 

 

「心理的柔軟性」ってのは聞き慣れない言葉かもですけど、だいたい以下のような意味合いです。

 

  • 心理的柔軟性がある=良い出来事や悪い出来事のどちらにもオープンで、その体験を避けずにマインドフルに受け入れられる。日常生活においても、現在に注意を払いながら暮らすことができる。困難な状況でも広い視野を保ち、日々の気分の変化を通してより深い価値観に触れ続け、困難や挫折の中でも目標に向かって進み続けることができる。

 

  • 心理的柔軟性がない=難しい経験を避け、ネガティブな感情を抑圧し、日常生活を不注意なまま過ごし、そのせいで逆に嫌な気分にとらわれやすくなる。その結果、ものごとの優先順位をつけづらくなり、失敗やトラブルに弱くなり、どんどん人生がハードモードに変わっていく。

     

ということで、「体験の良し悪しをジャッジしない」「いまここに意識を集中できる」「難しい体験や感情を受容できる」といった複数スキルの集まりが「心理的柔軟性」です。

 

 

これらのスキルをすべて身につけてれば、そりゃあ家族関係もよくなるだろうって気がしますね。というか、つねにマインドフルに問題に取り組める人は、普通に仕事の能力も高そうですし。

 

 

「心理的柔軟性」が高い人たちは、具体的にどんな関係性を築いてたかと言いますと、

 

  • 家庭においては、心理的柔軟性は家族間の結束力を増やし、ストレスや苦痛の総量は減らし、より柔軟な子育てにつながる。おかげで子供のストレスも低い傾向がある

 

  • 恋愛関係においても、心理的柔軟性はより大きな満足感をもたらし、無闇な争いの減少につながる。そのため、性的な満足度は高まり、関係性の不安も減っていた

 

だったんだそうな。まぁ相手の話をマインドフルに聞ければ関係性はよくなるだろうし、トラブルを受容できれば冷静さを失わずに解決策も生み出せるでしょうから、これぐらいの変化は起きても当たり前といったところじゃないでしょうか。

 

 

チームいわく、

 

このメタ分析では、困難な状況におけるマインドフルと感情的な柔軟さの重要性を示している。このふたつは個人の生活を向上させるだけでなく、親密な人間関係を豊かにする可能性がある。

 

離婚率を減らすために多くのスキルを学ぶ必要はないのかもしれない。彼らがいまどのように行動しているかを考えさせれば、それでことは足りるのだろう。

 

とのこと。まーそうはいってもマインドフルとかアクセプタンスを養うのは超大変なんで、瞑想とか認知行動療法をしながらジワジワ高めていくしかないと思われますが。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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