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今週末の小ネタ:運動しても眠れない人、メンタルが改善する運動、道徳はモテる

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。 

 

 

 

運動したのに睡眠が改善しなくて……という人は何が問題なのか?

不老長寿メソッド」には「よく寝たいなら日中に運動をしよう!」みたいなことを書いてるわけです。非常に標準的なアドバイスでして、これを否定する人はまずいないでしょう。

 

 

が、そうはいっても、過去の研究例などでは「運動したのに変化がなかった!」なんて報告があるのも事実。ちゃんと日中に体を動かしたはずなのに、一部の人には効果が見られないことがあったんですよ。

 

 

その理由はまだよくわかってないんですが、新しいデータ(R)は良いヒントになりそうでした。

 

 

これは9人の男性を対象にした小規模なテストで、

 

  1. みんなに60分間のハードな運動をしてもらう

  2. その後の睡眠の質を、脳波計で測定してみる

 

みたいになってます。ここではCVEっていう睡眠の判断法を使ってまして、脳の振動の特徴にもとづいて睡眠の深さを定量化しております。わりと新しいやり方っすね。

 

 

そこでどんな結果が出たかと言いますと、チームはこう申しておられます。

 

結果は意外なものだった。

 

脳波による客観的な指標では、運動は睡眠の質を向上させていた。しかし、参加者は睡眠の質に変化がなかったと報告したのだ。

 

つまり、本当は運動のおかげで肉体は休めているにもかかわらず、本人は「よく眠れなかったなぁ……」って感覚を抱いてたわけです。ほほーう。

 

 

なんでこういう現象が起きるかはまだ謎ながら、チームの仮説はこんな感じです。

 

たまに活発な運動をするよりも、定期的な中程度の運動を行うほうが、知覚的な睡眠の質に有益である可能性が示された。

 

ってことでして、おそらく慣れない人が激しい運動をしちゃうと、筋肉の疲れや疲労感に意識が向かってしまい、そのせいで主観的には「眠れなかったなー」って印象になるんじゃないか、と。というわけで、運動で睡眠を改善したいなら、身の丈にあったレベルのエクササイズをするのがいいかもですね〜。

 

 

 

メンタルが改善しやすい運動パターンとは?

運動がメンタルに良いのは常識として、新しいデータ(R)は、「どんなエクササイズが精神の改善にベストなのか?」ってのを調べてくれてて参考になりました。

 

 

これは、メンタルにちょっと問題を抱えた男女106人を対象にしてまして、

 

  1. みんなにGPS対応のスマートフォンをわたす

  2. スマホで計測した1週間分のデータを分析

  3. 活動データを、参加者の幸福度や精神疾患の症状と比較

 

みたいになってます。でもって、どんな傾向が見られたかと言いますと、

 

  • どのような活動でも、体を動かせば幸福感は高まる

  • が、もっとも幸福感が上がったのは、いろんなパターンで体を動かした人だった

 

って感じだったそうな。どんなアクティビティでも幸福感は上がるものの、

 

  • 運動の時間を変えてみる
  • いつもと違った運動をしてみる
  • 普段とは違う場所で運動をしてみる

 

みたいにバリエーションをつけたほうが主観的な幸福感は上がったらしい。まぁ精神疾患の症状については判断できなかったみたいですが、少なくとも幸せな感覚は得られるわけっすね。とにかく多様な運動パターンを実施するのが大事なんだ、と。

 

 

もちろん、メンタルが落ちてない人ほど、いろんなとこに出かけたくなるのでは?って考え方も否定できませんけど、いつも同じことをしてるよりは変化を加えた方が幸福は得やすそうですもんね。

 

 

 

道徳的なアクションをする人はモテるんじゃないか説

道徳的な怒りを表明する人は魅力的に見える!」というおもしろい研究(R)が出ておりました。不正への抗議、政治活動の支援、被害者への補償金の援助など、モラルの問題への怒りを表明する人は、長期的な関係における魅力度が上がるんだそうな。

 

 

この研究では870人の男女に4つの実験を行っていて、

 

  1. 参加者に「架空のマッチングアプリのプロフィール」を見てもらう

  2. どのプロフィールが魅力的に思えるかを評価してもらう

 

って手順で、どんな行動を取る人が魅力的に見えるのかを調べたんだそうな。で、一部のプロフィールの中には、以下のような記述をまぎれ込ませておいたらしい。

 

  • 私は動物たちを公害から守るために戦っています
  • セックスワーカーを被害者から守る活動をしています
  • 大学のバスケットボール選手を搾取から守る活動をしています

 

デモって、すべてをまとめたところ、何がわかったかと言いますと、

 

  • 男女ともに、道徳的な怒りを表明する人のことを、「長期的なパートナーとして魅力的に感じる」と答える傾向があった

  • 女性のほうが「道徳的な怒り」により強い影響を受けていた

 

という感じだったそうな。その昔、「寛大な人ほど魅力的に見える」って話がありましたが、ここらへんと近い話ですね。やはりモテにおいて道徳的な態度は欠かせない感じでしょうか。

 

 

もっとも、ここには注意点もありまして、

 

  • 道徳的な怒りを行動で示さないと意味がない!

 

って傾向もありますのでご注意ください。ネットでいろいろ批判するだけでなく、具体的に被害者などを守るアクションを起こさなきゃダメだよーってことですね。そりゃあ口先だけならなんとも言えるんで、行動が道徳性のシグナルになりやすいのは当然ですもんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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