現代で最も求められるスキル「創造性」を成長させるための5か条
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「創造性が世界を支配する(How Creativity Rules the World)」って本を読みました。著者のマリア・ブリトさんのことは知らなかったんですが、現代アートの世界で有名なアドバイザー兼キュレーターさんらしい。
本書は、タイトルどおり創造性の大事さをあつかった内容で、マリアさんが過去の創造性研究を調べて、クリエイティビティの重要性をまとめてくれていて良い感じです。本稿では、細かな創造性アップの方法は置いといて、個人的に勉強になったポイントをピックアップしておきます。
ポイント1.現代では創造性こそが最も求められているスキルである
- LinkedIn社は、長年にわたって約8億のユーザーが共有する情報を分析し、世の中で最も求められているスキルを探した結果、トップに来たスキルは「創造性」だった。
- しかし、一方でアドビ社が米国、英国、ドイツ、フランス、日本の成人5,000人に行ったインタビューによると、「私は創造性を発揮している」と考えている人は4人に1人で、さらに10人に4人は「創造的になる方法がわからない」と答えていた。
- このような知見をもとに、世界経済フォーラムは「創造性こそがこれからのキャリアで最も必要とされるスキル」と結論づけている。
ポイント2. 創造性は誰にでも備わった最強スキルである
- 創造性はアーティストにだけ必要なもののようなイメージもあるが、このような考え方は社会にとって有害となる。創造性は、既知の古い情報やアイデアを用いて、適切で新しいものを生み出すことであり、このような能力はあらゆる業界に適用される。
- 実際、過去の研究では、数学、工学、芸術など、異なる分野の人々の創造的プロセスには、まったく違いがないことを明らかにしている。マーストリヒト大学と南オーストラリア大学の研究では、2,277人の大学生を調査した結果、創造的な思考は領域や分野によってほぼ変わらないと結論づけた。CEO、プログラマー、アーティストが異なる作業をしているのは事実だが、そこに至るまでに使うスキルや態度はそっくりだと言える。
ポイント3. 5歳にもどれば創造性は鍛えられる
- 1968年、ジョージ・ランド博士は、3歳から5歳までの1,600人の子供の創造性をテストする研究を行った。その結果、5歳児の98%が最高レベルの創造性を見せたのに、同じ子供たちを10歳と15歳のときに再度テストしたところ、10歳では同じ数値が30%まで下がり、15歳では12%にまで創造性が低下していた。
- 同じように、平均30歳の成人28万人に同じテストを行ったところ、高い創造性を示したのはわずか2%しかいなかった。
- ランド博士によれば、「この問題は、いまの教育システムが、子供たちに『どう考えるか』よりも『何を考えるか』を教えているのが原因だろう」とのこと。創造性はすべての人間が持つ能力であるにも関わらず、特定のルール、ファクト、“疑う余地のない”理論を学ぶにつれて、新しいことを考える能力は抑圧されてしまう。
- 以上の研究をもとにランド博士は、「5歳の自分に戻ってみる」ことを推奨している。5歳のころの自分が考えたようなバカバカしいと思えるようなアイデアを表面化させ、それを具体的なモノやイベントとして実現させることで、私たちが生まれ持つ豊かな想像力を刺激し、育むことができる。
ポイント4. 創造性は危機によって育つ
- 創造性は“危機”によって高まる傾向があり、人類の偉大な発明や最も重要な芸術運動は大きな危機の後に起こっている。たとえば、イタリアのルネッサンスは、1300年代後半の黒死病の後に起こった。同じように、バウハウス、モダニズム、シュールレアリスム、アールデコの動きは、スペイン風邪が世界を荒廃させ、第一次世界大戦の惨状が地球の隅々まで伝わった後の1920年代に起っている。
経済面では、2008年の経済破綻を経て、ソーシャルメディア革命によるデジタル画像や映像の伝播、「コンテンツ・クリエーター」の時代が到来したのも記憶に新しい。限られた資源や厳しい環境に置かれたとき、あるいは困難に直面したとき、クリエイティビティは発揮される。
- 心理学者のマリー・フォージアード博士は、373人の参加者を対象に、危機と創造性の関係を示す初の実証研究を行った。博士は、このような危機から生じる創造性の急上昇を "心的外傷後成長 "と呼んでいる。
- もちろん、創造性を発揮するために逆境が必要なわけではないが、もしいま自分がが危機の真っただなかにいるのなら、その危機は、独創性アップのチャンスだと捉え直したほうがよい。
ポイント5. 創造力は行動から生まれる
- 座って待っているだけでは、創造性は発揮できない。斬新で現実的なアイデアを出すためには、アイデアがない状態で行動を起こす必要がある。
- たとえば、ピカソは絵画とデザイン13,500点、版画と彫刻10万点、本の挿絵34,000点、彫刻と陶器300点もの作品を残したことで知られる。友人から「どこからそんなに多くのアイデアが出るのですか」と聞かれたピカソは、「アイデアは単なる出発点だ。私が仕事を始めると、すぐに他のものが私のペンの中に湧いてくる。何を描こうとしているのか知るためには、描き始めなければならない」と答えた。
- ピカソは「創造性とは "やること "だ」と語っており、このような考え方は、ほとんどの偉大な思想家やクリエイターに共通している。