今週半ばの小ネタ:炭水化物をとらないとメンタル悪化? カフェインとタウリンの併用で脳機能アップ? エリスリトールで食欲がコントロールできる?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
炭水化物をとらないとメンタルが落ち込んじゃう?
「低炭水化物ダイエットがうつ病を引き起こすのでは?」と思わせる研究(R)が出ておりました。
食事とメンタルが連動しているのは間違いなく、食事を変えたら気分が改善したって報告は昔から多いんですが、過去のデータでは「うつ病の人は炭水化物をどか食いしがち」なんて報告もあったりします。メンタルの維持に糖質が欠かせない理由には諸説あるものの、一説には、炭水化物を食べると脳内のトリプトファンが増え、それがセロトニンっていう幸福ホルモンに変わるのではないか?と考えられてるんですよ。
ってことで、今回の研究では、炭水化物とうつ病の間に関係があるかどうかを調べるために、メンデルランダム化って手法を使って調査をしております。メンデルランダム化については「食後のインスリンが増えやすい人ほど太ってる!ってどこまで本当?」をご覧いただければと思いますが、「観察研究から因果を推測できるおもしろい手法」ぐらいにお考えください。
でもって、この研究でどんなことをしたかと言うと、
- 食事とうつ病に関連する遺伝子の変異をチェックする
- 炭水化物の摂取量に関わる遺伝子変異もチェックする
- 炭水化物よく食べる人ほど、うつ病のリスクが低いかどうかをチェックする
みたいになります。なにやら難しい話ですが、遺伝子の変異をベースに「炭水化物とメンタルの因果関係を調べたのだなー」みたいにとらえておけば良いでしょう。
その結論をざっくりまとめると、以下のようになります。
- 炭水化物の摂取量を1標準偏差(およそ335kcal)増やすと、大うつ病性障害のリスクが58%低下する
- BMIが高い人ほど、炭水化物によるメンタル改善効果が減少する
ってことで、やはり炭水化物にはメンタルを守る効果があるらしい(つまり、メンタルが健やかだから炭水化物を好むわけでない)。まだ決定打ってほどのデータではないものの、こうして見ると、「やっぱ良いメンタルをキープするには炭水化物が必要!」と考えたほうがいいんだろうなぁ……と思いますね。
カフェインとタウリンの併用で脳の機能も上がる?
カフェインとタウリンといえば、エナジードリンクに入っている代表的な成分。これらの成分の組み合わせによって運動のパフォーマンスが上がることは割と立証されてまして、スポーツをうまくやりたい人などは、摂取してみて損はないでしょう。
で、新しいデータ(R)もカフェインとタウリンの話で、「この2つを組み合わせて飲むと脳のパフォーマンスも上がるぞ!」って結論になっておりました。
これは20人の男性ボクサーを対象にした試験で、みんなにエアロバイクで30秒間ほど全力スプリントやストループテスト(脳の反応を測るテスト)をやってもらったんですが、その60分前に4種類のサプリメントのいずれかを摂取してもらっております。
- 体重1kgあたり6mgのカフェイン
- タウリン 3,000mg
- カフェイン6mg/kg+タウリン3,000mg
- 糖質300mg
そのうえで、みんなの運動パフォーマンスや脳の反応を調べたら、結果はこんな感じになりました。
- カフェインとタウリンを同時に飲むと、どちらかのサプリを単独で摂取した場合よりも、運動のパフォーマンスと脳の反応時間が向上した。
ということで、やはりカフェインとタウリンの組み合わせってのは、運動のパフォーマンスを上げてくれるだけでなく、脳の機能にもよい影響がありそうっすね。やはり運動をよくする人には、この成分の組み合わせは非常によろしいのではないでしょうか。
エリスリトールで食欲がコントロールできる?
当ブログでは、よくナイスな甘味料のひとつとして「エリスリトール」を取り上げております。具体的な話は「エリスリトールは本当に安全なの?」を参照していただければ幸いですが、エリスリトールは糖アルコールの一種で、キシリトールやソルビトールの仲間ですね。
かなり安全性の高さは確認されているし、さらには抗酸化作用もあるかもしれないしで、エリスリトールってのはかなり見込みがある甘味料なんですよ。
といったところで、新たなデータ(R)は「エリスリトールで食欲が減るかも!」って話になってておもしろかったです。これは20名の健康な男女を対象にした二重盲検クロスオーバー試験で、「エリスリトールを使ったら食事の量は変わるの?」ってポイントをチェックしたものです。
試験では、参加者に4種類のドリンクを摂取してもらいまして、具体的には、
- 普通の水
- 50gのエリスリトールで甘くした水
- 33.5gのスクロースで甘くした水
- 55.8mgのスクラロースで甘くした水
3種類の甘味をつけた飲料にはそれぞれ300mLの水が含まれており、ドリンクの甘さはほぼ同じレベルだったとのこと。でもって、それぞれのドリンクを飲んでから15分後に、みんなへハムサンド(トースト、バター、ハム)、カップ入りチョコレートクリーム、水、オレンジジュースなどを渡して「好きなものを好きなように食べてね!」と指示したところ、結果は以下のようになりました。
- エリスリトールを飲んだグループの食事量が最も少なく、合計483kcalだった
- 砂糖水を飲んだグループの食事量が多く、合計707kcalだった
ということで、エリスリトールを飲んだグループは、格段に食事の摂取カロリーが減っていたらしい。エリスリトールで食欲が減る理由は謎ですが、この甘味料は、昔から満腹ホルモン(グレリンと コレシストキニン)の量を増やし、グレリン(空腹感を高めるホルモン)の量を減らす現象が指摘されていて、「食欲のコントロールに効くかも?」とは言われてきたんですよ。
その点で、エリスリトールがダイエットに効く可能性はあるので、試してみるのは良いかもしれませんねー。