脳機能がアップする運動法の最短時間はどんなものなの?を調べたメタ分析の話
運動が健康だけでなく脳にも良い影響を与えることは常識になりつつありますが、まだ良くわかっていなかったのが「1回の運動でどれぐらい脳は活性化するのか?」って問題であります。運動で頭が良くなるのは間違いないんだけど、具体的な効果は謎なんですよね。
ってことで、新しいメタ分析(R)では、過去30年間にわたり発表された113の研究から4,390人のデータをピックアップしていて参考になりました。「1回の運動でどれぐらい頭は良くなるのか?」「1回で効果が出るなら、そのレベルはどれぐらいなのか?」「1回の運動は何分ぐらいが望ましいのか?」」といったあたりを掘り下げてくれてますんで、「とにかく脳機能を高めたい!」って方には参考になるでしょう。
今回の研究では、特に「実行機能」と呼ばれる脳の高度な認知能力に焦点を当てた分析になっているのが特徴。実行機能は、日常生活や仕事で重要な役割を果たす能力でして、計画、意思決定、新しい状況への適応、衝動のコントロールの能力に関わっております。例えば、
- 会議で他人の発言を聞きながら、自分の意見を考える。
- 予定が急に変更になったときに、冷静に対応して別の計画を立てる。
- SNSを見たくなる衝動を抑え、集中して仕事を進める。
- プロジェクトを完了するためにタスクを細分化し、優先順位を決める。
- 限られた時間でどのタスクを先に処理すべきかを決める。
- 騒がしいカフェでレポートを書き上げる。
って行為をする際には実行機能が必須。この機能が低いと、日常の家事や仕事がまともに進まなくなってしまうわけですな。
脳を改善するにはどんな運動をすべきか?
では、分析の結果を見てみましょうー。
- 短時間の運動により、脳の機能全般が少しだけ上がった。特に反応速度の改善が顕著で、情報処理能力が向上する傾向があった。
- ただし、1回の運動では、タスクの正確性には大きな影響が見られなかった。
- 運動の効果量(g値)は0.13なのでかなり控えめと言えるものの、統計的に有意な向上が確認されたのは間違いない。
- 実行機能に関しては、作業記憶と衝動の抑制、意思決定が特に改善された。つまり、短時間の運動は、集中力や判断力が必要な状況でのパフォーマンスアップが期待できるのだと思われる。
- 実行機能の改善メリットは、運動してから後すぐに現れるため、重要なタスクを行う直前に運動を取り入れるのが効果的っぽい。
って感じで、やはり短時間の運動は実行機能に良い影響を与え、しかもそれは直後から現れるんだそうな。個人的には「思ったより効果量が少ないんだなー」とか思いましたが、やってみる価値があるのは間違いなさそうっすね。
さらに、具体的にどのように運動すればいいのかと言うと、だいたい以下のようなガイドラインを守っておくと良さそうであります。
- 脳の改善に役立つ運動の種類:サイクリングや、高強度インターバルトレーニング(HIIT)、軽いランニングが特に効果的だと思われる。サイクリングは集中力や注意力を高め、一定のペースで行うとさらに効果的。
一方、HIITは短時間でエグゼクティブ機能を強化するのに適しており、30秒間の全力運動と1分間の休息を繰り返すやり方が望ましい。
軽いランニングは、記憶力や情報処理能力を向上させ、気分転換にも適している。
筋トレについては、特定の実行機能を下げる時もあるため、目的に応じて選択する必要がある。
- 脳の改善に役立つ運動の強度:脳機能の改善については高強度の運動が最も効果的で、20~30分未満の短時間運動で最大の効果が得られる。それ以上の長時間運動だと、疲れのせいで逆に認知機能に悪影響が出るため、適度な時間内に収めるのが大事。
ってことで、基本的にはどんな運動でもいいんだけど、最大の効果を得たいなら、HIITぐらい負荷が高い運動を20分ぐらいやっておくのが良さそうっすね。
ちなみに、この研究では、運動効果がかなり控えめにしか出てないんですが、その理由についても研究チームは検討しております。
- 対象が18~45歳の健常な若年成人だったので、もともと認知機能が高かったせいで、劇的な効果が観察されにくかったのかも。
- 多くの研究で使われる認知タスクは簡単だったんで、運動による効果が正確に測定されにくかったのかも。
- 研究は実験室で行われることが多かったので、日常生活のような複雑な環境では効果が測定されていないのかも。
確かに、全体的には運動の効果を下振れさせている感じはありますんで、実際にはもうちょい効果があるのかもですな。
日常生活で実践できる運動プラン
このメタ分析の知見を活用してみると、脳機能をアップする運動ってのは、だいたい以下のようにやってみるのがよさげ。
- とにかく短時間だけ運動する:10~20分の運動を日常的に取り入れると、脳を活性化させる効果が得られる。特にサイクリングやHIIT、軽いランニングが効果的。
- 運動後に重要なタスクを行う:運動後すぐに仕事や学習を行うと、脳のパフォーマンスが最大化されるので、プレゼンや試験勉強、クリエイティブな作業を行うタイミングとして最適。
- 継続的な運動習慣を作る:単発の運動でも効果はあるが、週3回以上の運動を習慣化することで、長期的な認知機能向上が期待できる。
ここらへんを守っておけば、短時間の運動をたった一回やるだけでも、反応速度や実行機能が改善されるはず。日常生活や仕事の効率向上につながる可能性がありますんで、ぜひお試しください。