スロートレニングは本当に筋力がつくのか?
「スロートレニングは本当に筋力がつくの?」というご質問メールをいただいたので、ちょっと考えてみたいと思います。
ご質問の内容を抜粋しますと、
疑問なのですが、スロートレニングにも加圧トレーニングと同様に結合組織を強化する作用は低いのでしょうか?
あとスロートレーニングや加圧トレーニングによって仮に筋肉が付いたとしてもそれに見合う筋力が付くのかどうかも疑問に思っています。
というのも筋肥大には主に筋繊維の肥大(筋力に関わる)と筋形質の肥大(筋力に関わらない)とがあるらしいのですが、トレーニング方法によって主にどちらの肥大を促すかの違いがあるらしいです。
とのこと。スロトレで本当にパワーはつくの?筋肉のサイズだけが大きくなってるんじゃない? って疑問ですね。
で、筋繊維と筋形質の肥大についてはメールに書かれていらっしゃるとおりで、確かにトレーニングの方法によって発達の差は出てきます。なんですが、実際のところ、筋肉のサイズと筋力はそこそこ連動してまして、筋肉のサイズだけが大きくなって筋力が全くつかないってケースはないと思います。よほどガチのアスリートでもなければ、筋繊維と筋形質の差まで気にしなくてもよいのではないかと。
実際、スロトレと筋力の関係について調べた実験もありまして(1)、59〜76歳の高齢者を対象に行った研究では、12週間のスロトレで筋肉サイズと筋力は同じようにアップしていたとのこと。結合組織についても同様で、スロトレでもちゃんと腱の発達などが見られたようです。
ただし、ここで個人的に疑問なのが「スロトレは普通の筋トレより効果があるのか?」という点。正味な話、これまでの研究では、スロトレのほうが上だっていう確実な証拠が出てないんですね。
代表的なのはジョージ・ワシントン大学の論文(2)で、スロトレと普通の筋トレの効果を10週間にわたって計測したところ、筋力のアップ度は普通の筋トレの圧勝だったんですね。具体的には、
- ベンチプレス 筋トレ:34% スロトレ:11%
- プルダウン 筋トレ:27% スロトレ:12%
- レッグプレス 筋トレ:33% スロトレ:7%
といった感じ。結構な差ですよね。アラバマ大学の比較実験(3)でもスロトレに不利な結果が出てまして、筋力のほかにも代謝量や脂肪の燃焼量についても、普通の筋トレのほうが良い成果を収めております。
もちろん、これは「スロトレには意味がない!」って話ではなくて、スロトレには
- ゆっくり行うのでケガが少ない
- 高価なダンベルがなくても実践できる
っていう大きな利点があるので、筋トレビギナーには非常に良い方法かと思います。こんなところでお答えになりましたでしょうか?