このブログを検索

健康のためにオーガニックな高級卵を買うべきか否か?問題

Egg 944

 

卵に関するご質問をいただきました。

 

質問したいことは沢山ありますが、いま1番おうかがいしたいことは「卵の選び方」についてです。 現在カナダ在住なんですがこちらの卵の種類が様々で、Organic、 Free-Run、 Free-Range、またオメガ3入りなどなど値段も色々です。それぞれ試してみてはいますが、あまり違いも分からず結局どれがいいのか分かりません。質の高い卵についてお伺いできたら嬉しいです。

 

とのこと。日本でも1個100円ぐらいの高級卵がありますが、果たして値段なりのメリットがあるのか?という疑問ですね。確かに、高級卵の販売サイトなどを見ますと、「平飼い(Cage-Free)」や「抗生物質未使用(No Antibiotics)」といった宣伝文句が乱れ飛んでまして、何を選べばいいのか困っちゃうところです。

 

 

赤玉もホルモン剤未使用もすべて無意味

では、まずは卵を選ぶ際に「無意味」な宣伝文句を見てみましょう。

 

  • 平飼い(Cage-Free):平飼いと聞くと、つい広々とした農場で鶏たちが元気に暮らす様子を想像してしまいますが、実態はさにあらず。本当は「鳥カゴを使ってません」ぐらいの意味なので、鶏をせまいオリにぎゅうぎゅう詰めで育てているケースもしばしばであります。もちろん、完全な放牧状態で運営してるとこもありましょうが、ラベルだけで判断するのは不可能。
  • 赤玉・白玉:赤玉のほうが栄養がありそうなイメージですが、殻の色は鶏の種類によって変わるので味や栄養価とは無関係。一般に赤玉のほうが高いのは、赤玉を産む鶏のほうが体が大きくて育成コストがかかるためであります。
  • ホルモン剤未使用:そもそも日本やアメリカでは、産卵時にホルモン剤の使用は認められてなかったりします。
  • 抗生物質未使用:同上。
  • フリーレンジ(Free-Range):フリーレンジは「鳥カゴを使わず外で運動させる育成法」の意味ですね。ただし、ぎゅうぎゅう詰めのオリの外に「30センチ四方の遊び場」を作っただけってケースもあったりして、やはりラベルだけでは実態がわからないのが難点。
  • オーガニック:日本だと有機JAS規格って基準がありますが、残念ながら卵は対象外。ちょっとだけ有機栽培のエサを食べさせた鶏でも「オーガニック卵」を名乗れるので、何の意味もなかったり。

 

といった感じ。まず大抵の宣伝文句は当てにならないとお考えいただければ。おそらく「放牧卵(pastured)」って表記ならそこそこ信頼できるかと思いますが、そこまでの自信はなし。もはやラベルで判断するのはあきらめて、直に養鶏場を訪ねてみるしかないレベルであります。



確かに高級卵の栄養価は高いんですが…

というわけで、続いてはガチの平飼い卵とスーパーで買える普通の卵の栄養の差を見てみましょう。日本では栄養成分を公開してる高級卵が見当たらなかったんで、以下は有名なブランド「EggLand’s Best」の平飼い卵とくらべたデータです。

 

Egg

 

全体的に見て、スーパーの卵のほうがやや脂肪分が多く、平飼い卵のほうはビタミンB群が豊富。ビタミンEやオメガ3脂肪酸が多いのもうれしいところです。

 

 

が、正直なところ、この栄養差が高級卵のコストに見合うかと言えばちょっと疑問。確かに栄養価は高いものの、卵1個あたりのビタミンやオメガ3の絶対量はさほどでもないので、そのぶんは野菜や魚で補ったほうがいいのでは?とも思うわけです。別に高級卵のほうがスーパーの卵より安全性が高いってわけでもないですしねぇ。

 

 

もちろん、高級卵には独特の濃厚さがありますんで、味わいを求めて選ぶのはまったく問題なし。しかし、なにせ卵は毎日使う食材なんで、個人的にはスーパーの卵でもいいんじゃない?って結論にいたっております。参考になりましたでしょうかー。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM