集中力は「伝染する」んだから、仕事する場所は慎重に選ぼうね、みたいな話
「集中力は伝染する!」って論文(1)がおもしろかったんでメモ。
これはブリュッセル自由大学の実験で、38名の学生を対象にしたもの。2人で1組のグループを作り、いっしょにフランカー課題に挑戦してもらったんだそうな。
フランカー課題は、モニタに現れる矢印の向きを素早く答えるという脳トレみたいな作業。くわしくは「脳トレでネガティブな感情をグンと減らせるかもしんないぞ」をご参照ください。
また、実験の様子は以下のイラストみたいな感じ。2人が同じ画面を見つつ、別の課題に取りくんだわけですね。
その結果わかったのは、
- 隣の人が集中すると、自動的にもう1人の集中度もあがる
- モニタに仕切りを置いて相手の作業が見えない状態にしても、やっぱり他人の集中が伝染する
って感じ。とにかく他人の集中力は、なんらかの形で自分にも伝染するみたい。
研究者いわく、
なぜこんな現象が起きるのかはわからない。おそらく、他人の姿勢や呼吸といった微細な手がかりを無意識のうちに察知しているのだろう。より大胆な仮説としては、努力の大きさにともなう体臭の変化が影響している可能性もある。
とのこと。とにかく人間の脳には他人の努力レベルを自動的に検知する機能が備わっており、しかもその変化へ無意識に合わせていくようにできているんだ、と。おもしろいもんです。
そんなわけで、このデータを現実の暮らしに活かすならば、
- 生産性を高めたきゃ、生産性が高い人のなかにまぎれ込め!
ってことでしょうな。研究者いわく、
もしカフェで仕事をしたければ、熱心に働いている人が多い店を選んだほうがよい。みんなが楽しくしゃべっているような店は、生産性のアップには不向きだ。
とのこと。感覚的にも納得しやすい話ですね。
ちなみに心理学での世界では、努力の他にもいろんなものが感染していくのは有名な話。たとえば、
- 幸福感
- 不安感
- 行儀の悪さ
- 危険を好む傾向
あたりがよく知られております。要するに「朱に交われば赤くなる」って話でして、自分の行動をコントロールしたければ、周囲に置く人たちを選ぶのは超大事ってことでありました。