このブログを検索

チーズは体に悪い?いや、実は毎日食べた方がいいんだぜ!というメタ分析の話




チーズって体にいいの?悪いの?って疑問は昔からあって、まだ決着がついてないのが現状ではあります。この問題についてはかつてざっくりした見解をまとめたことがありまして、その時は「いまんとこ目立ったデメリットはなさそうだよなー」ぐらいの結論に落ち着いておりました。



が、近ごろチェックしたデータ(R)は、「チーズは積極的に体にいいぞ!」って結論になっておりました。


これは東呉大学などが行った観察研究のメタ分析で、欧米で行われた過去の研究から15件を抜き出して、20万人以上の食事と健康状態を追跡したものです。全体のデータの質はまぁまぁですが、チーズの健康効果をチェックする上ではわりと参考になりましょう。


でもって、まずはその結論から書いちゃうと、

  • チーズを日常的に食べている人は、冠動脈性心疾患を発症する確率が14%低く、脳卒中を起こす確率が10%低い!
  • チーズの影響は、毎日約40グラムのチーズを摂取する被験者にもっともよく見られた
  • ただし、1日のチーズ摂取が40gを超えると、逆に心血管系の合併症を発症するリスクが高まる可能性がある

だったそうです。だいたい1日4,gのチーズで善玉 コレステロールが増えて、同時に悪玉 コレステロールが減る傾向が確認されたんだそうな。


40gのチーズってどんなもんかなーと思ったんで、たまたま家にあった35gのチーズとAirPod Proの充電ケースを比較してみました。




こうして見ると40gのチーズってのは割と少なめっすね。普通のチーズ好きならもうちょい食べる人も多そう。


チーズといえば飽和脂肪酸のかたまりなわけですが、にも関わらずなんで心疾患リスクが減るのかと言いますと、

チーズ中のカルシウムが、体が吸収される脂肪の量を減らしている可能性がある。同様に、チーズには動脈の閉塞を防ぐのに役立つ酸もふくまれている。たしかに飽和脂肪酸の量は多いが、有益な栄養素もふくまれているのだ。


のように推測されておりました。チーズにふくまれるカルシウムが、脂肪をブロックしてくれてるんじゃないか?ってことで、いかにもありそうな気がするわけです。


ただまぁ、この研究にも難点はありまして、

  • 別に被験者の食事の変化を追ってるわけでもないんで、たんに健康な人ほどチーズを多く食べる傾向があるだけなのかもしれない
  • 健康な人は裕福な人が多いので、より多くのチーズを食べる余裕があるだけなのかもしれない
  • 今回の分析にふくまれているイギリスの研究は、ベジタリアンの健康レベルを追跡しているので、チーズのメリットが大きめに出てる可能性はある

みたいなポイントは心に留めておきたいところです。チーズのメリットが多めに出てる可能性はありそうだし、そもそも1日40gぐらいって上限もかなり少なめなんで、「積極的にチーズを食べようぜ!」みたいに積極的には言いづらい感じっすかねー。

スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM