チーズはどこまで体にいいのか?もしくは悪いのか?問題
当ブログによく寄せられる質問が「チーズどうなの?」って問題であります。
というのも、ガチなパレオダイエットでは乳製品が禁じられるケースが多いいっぽうで、なんだかんだで体に良いってデータもあったり、かと思えば前立腺癌のリスクを上げるっていうデータもあったりで、なかなか判断が難しいんですよね。
そんなわけで、いまも賛否あるチーズについて、近年のデータなどをざっくりまとめておこうかと。
チーズと腸内環境とか
発酵食品のメリットは「最高の体調」にさんざん書きましたが、チーズも発酵食品なので、当然ながら腸内環境にいいんじゃないの?と考えられるわけです。
ってことで、その辺を調べてくれたのがコペンハーゲン大学の論文(1)で、15人の健康な男女に3パターンの食事を14日ずつ指示しております。
- 牛乳が多い食事
- チーズが多い食事
- 乳製品を制限した食事
その際にみんなの尿と便を調べたところ、
チーズを食べた参加者には、腸内のSCFAs(短鎖脂肪酸)が増える傾向が確認された。これはおそらく有用な腸内細菌が増えて、有用な脂肪の分泌が増加したのだろう。
全体的にみて、この研究はチーズがフレンチパラドックスに重要な役割を果たしている可能性を示唆している。
とのこと。短鎖脂肪酸は腸内細菌が生み出す物質で、リーキーガットの調整にも多大な影響をおよぼしております。その点で、チーズは腸内環境を改善する可能性があるのではないか、と。フレンチパラドックスとの関連は眉唾な気もしますけど、腸内の改善についてはありそうですねぇ。
チーズと心疾患リスクとか
続いて「チーズは心臓や血管にいいの?」みたいな話を。なにせチーズは高脂肪食ですから、心疾患のリスクを上げるのでは?という気もしてくるわけです。
ところが、「乳製品と血管の健康」に関するデータをまとめたレディング大学のレビュー論文(2016年,2)によれば、
乳製品と心疾患リスクについて調べた多くのメタ分析が、牛乳や乳製品は心疾患の致死率や、LDLコレステロールなどの悪化との相関がないことを示している。ただし、この結果にバターだけはふくまれない。
だそうな。どうやらバターだけはLDLコレステロールを増やす可能性があるんだけど、それ以外はなんの問題もないみたい。
どころかチーズについては、食べるほど心疾患リスクが下がる傾向がありまして、
- 1日145gのチーズを食べると……
- メタボのリスクが19%低下
- HDLコレステロールの減少リスクが13%低下
- LDLコレステロールが6.5%低下
- 中性脂肪には影響なし
って事実を示したデータもあるそうな。うーん、これはちょっと意外でしたね。
炎症や糖質のコントロールにも影響は少ない
前にも少し書いたとおり、高脂肪食ってのはつねに炎症の可能性をはらんでるわけです。どうも飽和脂肪が多い食事ってのは、慢性的な炎症につながりやすいみたいなんですな(例外もありますが)。
が、肥満に悩む男女92人を対象にした2017年の実験(3)では、
- チーズガッツリの食事
- バターガッツリの食事
という2パターンをそれぞれ4週間ずつ続けてもらったところ、以下のような結果だったんですよ。
- 1日の総カロリーのうち、チーズの量が14%を超えなければ体内の炎症も糖代謝の問題も起きない!(ただしバターはLDLコレステロールに悪影響が出た)
チーズが14%までてことは、1日の維持カロリーが2000kcalの人ならだいたい80gぐらいっすね。6Pチーズなら4個ぐらいのイメージ。
まとめ
いろいろ書いてきましたが、当ブログではおなじみの「地中海式ダイエット」でもチーズやヨーグルトは推奨してますし、別に普通に健康的な食事の一部に取り入れてもいいんじゃないかと思っております。
ただし、最後に取り上げたデータだと「食べ過ぎには注意してね」ってことなんで、あくまで嗜好品としてたしなむぐらいを心がけるがいいのかなーと思う次第ですねー。