家に帰る前に卵を買うのを忘れてた!を回避する「エンコーデッド・エナクトメント」法とは?
「展望記憶をアップする方法が見つかったよ!」って論文(1)がおもしろかったのでメモ。
展望記憶ってのは「これからやること」をおぼえておくことでして、たとえば「会社帰りに卵を買わねば!」みたいな日常的なことから、「明日の10時に飛行機に乗らねば!」みたいな重要なことまで、いろいろと大事な働きをしております。
展望記憶が働かなかったら未来の予定がこなせなくなるんで、日常がめちゃくちゃになるのは必至。どうにかして鍛えておきたいところなんですな。
これはチチェスター大学の研究で、96人の男女を対象にしております。その内訳は、
- やや記憶に難ありな64〜87歳の高齢者
- 記憶には問題がない62〜84歳の高齢者
- 18〜22歳の若者
みたいな感じで、全体を2つのグループに分けております。
- 「エンコーデッド・エナクトメント」を使って未来の行動を記憶する
- 何もせずに未来の行動を記憶する
「エンコーデッド・エナクトメント」は研究チームが推奨する記憶術で、簡単に言っちゃうと、
- これからやることを実際に演じてみる!
って方法です。たとえば、「会社帰りに卵を買う!」ってのをおぼえておきたいときは、その場でいったん「スーパーに入った自分」を想像しつつ、卵パックを実際にレジまで持っていく様子を細かく再現してみるわけですな。
なんだか恥ずかしい気もしますがその効果はなかなかでして、
- 「エンコーデッド・エナクトメント」を使った参加者は、年齢にかかわらず展望記憶がグンとアップ!
- 特に記憶力に問題を抱えた高齢者ほどメリットが大きい!
って結果だったようで、万人に使えそうな感じをかもしております。
研究者いわく、
展望記憶が低下すると、慢性的な不安や人生のリスク増大といった問題につながる。展望記憶は年齢によって低下してしまうものだが、「エンコーデッド・エナクトメント」で展望記憶をサポートできそうだ。
今回、この実験で認知機能が衰えた人にも改善が見られたのは、とても勇気づけられる事実だ。このテクニックはコストもかからないし、自立した人生を送るために誰にでも適用できる。
とのこと。確かに展望記憶が低下したら人生の質もダダ下がりでしょうからねぇ。
もし何も対策を取らなければ、帰宅時に牛乳パックを買うのを忘れてしまい、家にもどってから気づく可能性は高くなる。その代わりに、自分がおぼえておきたい行動を再現してみよう。その行動を、あたかも実際に行っているかのように、できるだけ鮮明に演じてみるのだ。
この作業は、最初のうちは不自然に感じられるだろう。しかし、このテクニックは、展望記憶を拡張するための最適な戦略であることをわかりつつある。その効果は長く続き、使えば使うほど展望記憶も向上していく。行動こそがキーポイントなのだ。
ってことで、「エンコーデッド・エナクトメント」は展望記憶の脳トレとしても使えるみたい。私も買い物忘れはよくやりますんで、ちょっと試してみるか……。