筋肉発達の奥義?「ハットフィールド法」でどこまで効率よく筋肉は育てられるのか?
「ハットフィールド法」っていう筋トレメソッドがあるんですよ。簡単に言いますと、
- ひとつのセッション内で細かく回数やスピードを変える!
って方法です。
たとえば最初の2セットで7〜8回をやったら、次のセットでは12〜15回に変えていく、みたいな感じ。さらに、ここでスピードも変えていくのがポイントで、最初の2セットは1秒でバーベルを上げ下げしたら、続く3〜4セットは2秒で上げ下げしてみたりとか。とにかく細かく回数を調整していくんですね。
これはフレデリック・ハットフィールドさんっていう有名なパワーリフターが開発した手法で、いまも一部の筋トレ好きには愛されてる手法だったりします。一部のトレーニングDVDなんかでも、「筋肉発達の奥義!」としてあつかわれてたりしますね。
ハットフィールド法の効果を初めて調べたよ!
が、いままでは、この手法に関するちゃんとした実験がなかったのが難点。歴史が長い手法のわりには、意外にも正当性が確認されてなかったんですな。
そんな状況下、インスブルック大学が「ハットフィールド法どうなの?」って実験(1)をしてくれまして、とても参考になりました。
これは26人の筋トレ好き男性を対象にした実験で、全体を2つのグループにわけております。
- ハットフィールド法で筋トレ
- 週ごとにセットごとの回数を変えて筋トレ(いわゆるピリオダイゼーション)
それぞれの筋トレは週2回のペースで、ニーエクステンションやレッグプレスなど、下半身がメインのメニューになxってます。
具体的なハットフィールド法の例
ハットフィールド法がどんなものかというと、
- 基本的には「重くてスピーディ」な動きからスタートして、少しずつ「軽くてスロー」な動きに変えていく
- たとえば、最初の1〜2セットは4〜6回を0.75〜1秒で上げ下げしたら、続く3〜4セットは12〜15回を1〜1.5秒で上げ下げし、最後の5〜6セットは20〜25回を1.5〜2秒で上げ下げする
って感じです。かなり細かいっすな。
いっぽうでピリオダイゼーションのグループは、
- 1週目と4週目は1セット4〜6回、2週目と5週目は1セット12〜15回、3週目と6週目は1セット20〜25回
- バーベルの上げ下げスピードは、すべて2秒で下げて1秒であげる
って感じです。もちろん両グループのトレーニングボリュームは統一されていて、あくまで「1日単位」と「週単位」でトレーニングの回数とスピードを変えたらどうなるか?ってとこをチェックしております。
ちなみに、「普通の筋トレ」(決まった負荷とセットをくり返す)との比較が行われてないのが残念ですが、ここらへんは従来のピリオダイゼーション研究の結果と照らし合わせつつ判断してくしかないっすね。とりあえず、現時点では普通の筋トレよりはピリオダイゼーションがよさげなので、もしこの実験で「ハットフィールド法のほうがすごい」って結果になれば、新たなトレーニング法として採用する価値は十分にあるわけです。
結果はどうだったかと言えば……
さて6週間後にのような結果が出たかと言いますと、
- 筋肉量の増え方は、ちょっとだけハットフィールド法のほうが大きかった(CSAが4.4cm2. vs 3.4cm2 )が、統計的に有意なレベルではない
- スクワットジャンプで計測したところ、筋肉のパフォーマンスはピリオダイゼーションの方が上だったが、こちらも誤差の範囲
- レッグプレスの1RMで測定した筋力は、両グループにほとんど差はなし
だったそうな。うーん、判断が超微妙。ちょっとした差は出てるものの、ハッキリ「こっちを選べ!」とは言いづらいところですな。
細かいことを言うと、この研究では「重い負荷から軽い負荷」に移動するピリオダイゼーションを使ってるんで、もし「軽い負荷から重い負荷」に移動するパターンだったら、また結果は違ってたのかも。そこらへんは今後の研究待ちってことで。
まとめ
とりあえず現時点で言えるのは、
- ハットフィールド法とピリオダイゼーションに目立った差はないので、好きなほうを選べばOK!
- どちらを選ぶにせよ、自分にとって「最終的なトレーニングのボリュームが増やせるほう」を試すのが良さげだよ!
ってことでしょうか。わたしはめんどくさがりなので、今後も普通のピリオダイゼーションをやっていきますかねぇ。