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人間の性格は変えられる。正しいゴールを設定すれば変えられる。という観察研究のお話


  

性格って変わりにくいよねー」ってのが心理学の定説で、どうも人間のパーソナリティは生涯を通してかなり固定されてるみたいなんですよね。そのあたりの話に興味がある方は「自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義」などをどーぞ。

 

 

もっとも、だからと言って性格がガチガチに不変なわけでもなく、歳を取るとキャラが丸くなりやすいのは有名な話。基本は変わりにくいものの、ある程度までなら変化もあり得るわけですね。

 

 

で、新しい研究(R)は、「人生で目指すゴールに沿って人間の性格は変わる!」みたいな話になってて良い感じでした。

 

 

これは500人近い男女を20年間追いかけた観察研究で、全員が大学生のころから調査をスタート。それぞれのビッグファイブを定期的にチェックしつつ、20年のあいだに参加者がどんな目標を抱きながら人生を過ごしてきたかを調べたんだそうな。ここでいう「人生目標」ってのは、「出世したい!」とか「裕福になりたい!」「家族を持たい!」「政治や宗教に身を捧げたい!」など、あらゆる個人のゴールを意味しております。

 

 

その結論について研究チームいわく、

 

この研究は、20年の人生において、個人の性格と人生の目標がどう関連するのかを調べるユニークな機会となった。

 

結果としては、その人の性格が価値ある人生目標を作り出し、その目標を追求することで性格が変化していくことがわかった。

 

とのこと。いくつか例を挙げると、

 

  • 協調性が高い人ほど「みんなを幸せにする!」とか「社会に貢献する!」といった人間関係に関するゴールを設定する傾向があり、そのゴールを追求することによりさらに協調性が高くなっていく

 

  • 誠実性が高い人ほど「貯金を貯める!」とか「仲の良い家族を作る!」といった経済や家族に関するゴールを設定する傾向があり、そのゴールを追求することによりさらに誠実性が高くなっていく

 

みたいな感じです。多くの人は生まれつきの性格に沿ったゴールを決め、その目標に向かうことでさらに元々の性格を強化していくのではないか、と。

 

 

さらにチームはこんなことも言ってます。

 

かつてアルバート・アインシュタインは、「幸せに暮らしたいなら、人や物ではなく、自分の人生を目標に結びつけなさい」と言った。実際、アインシュタインの創造的で好奇心旺盛な傾向は、彼の科学的な目標だけでなく、バイオリンを弾くことへの情熱のような、より美的な目標に目を向けさせた可能性が高い。

 

アインシュタインといえば好奇心バリバリおじさんとして有名ですが、それは生まれつきの性格が人生の中でブーストされたのが大きいんじゃないかってことっすね。

 

 

ちなみに、この研究から得られた他の知見としては、

 

  • 平均すると、18歳から40歳までの間に、協調性と誠実性が増加する人が多い
  • 年齢とともに神経症傾向が減少する人も多い
  • 外向性(≒社交性)と開放性(≒好奇心)が変化する人は意外と少ない
  • 年齢を重ねるにつれて、目標を持たなくなっていく人が多い

 

という傾向も確認されてたりします。歳をとって目標の重要性が低くなるのは、中年になると個人的な強みと限界を認識しやすいため、多くの人が「あ、このゴールは自分に関係なかった」と思い始めるからだそうな。わかるー。

 

 

というわけで、自分の性格を変えてみたいと思われる方は、

 

  1. まずは自身のビッグファイブをチェックする
  2. そのビッグファイブに適した目標を設定する
  3. その目標に邁進する

 

みたいなステップを踏むのがよろしいんじゃないでしょうか。かくいう私は子供のころから目標なく過ごしてきた人間なので、あまり大きなことは言えないんですけども………。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。