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今週末の小ネタ:下ネタはモテる? オキシトシンは惚れ薬に使える? 金がなない社会のほうが幸福?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

男は下ネタでモテるのか?

男は下ネタでモテるのか?を調べた研究(R)が出ておりました。これは南ミシシッピ大学の調査で、ざっくりどんなもんかと言いますと、

 

  1. ネットで大量の下ネタを検索して、100人の男女におもしろさを評価してもらう。

  2. 高評価だった下ネタを、研究チームが作った架空の男性のプロフィールに掲載する(同時に、普通のジョークを添えたプロフィールも見てもらう)。

  3. そのプロフィールを100人の女性に見せ、長期的なパートナー(結婚を想像できる人)としての魅力と、短期的なパートナー(浮気相手として魅力的な人)としての魅力を評価してもらう。

 

みたいになります。普通の冗談と下ネタによって、男の魅力にどのような差が出るのかを調べたわけですね。

 

で、結果はこんな感じになりました。

 

  • クリーンな冗談を言う人は、長期的な交際でも短期的な交際でも魅力的だと評価された。

 

  • しかし、女性が「長期的な交際をしたい!」って思いが強い場合は、クリーンな冗談を言う人のほうが格段に魅力的だと判断された。

 

  • 女性が「短期的な交際をしたい!」って思いが強い場合は、下ネタの魅力度も高まった。

 

ということで、どうやら下ネタってのは、短期交際を求める女性にはよく効くが、安定した結婚を望む人には逆効果になっちゃうわけですね。個人的には、かなり予想どおりの結論でしたねー。

 

 

いずれにせよ、この研究を見る限り、どんなタイプの交際を求める女性でも、基本的には「下ネタよりもクリーンな冗談のほうが好き」って傾向はあるっぽいので、下ネタは使わないほうが無難かもですね。

 

 

 

オキシトシンは惚れ薬に使えるか?

媚薬なんてものはない!ってのが科学界のコンセンサスですけども、そんな状況下で、わりと研究されてるのがオキシトシンであります。

 

 

オキシトシンは「愛情ホルモン」と呼ばれる物質で、社会的行動を促進する作用があるので、天然の惚れ薬として使えるんじゃないかと考えられてるんですよ。なので、オキシトシンを配合した媚薬なんかも、一部では売られてたりするわけです。

 

 

では、オキシトシンは本当に惚れ薬として使えるのかってことで、成都臨床病院のチームが実験(R)をしてくれておりました。

 

 

これは160人の男女を対象にしたテストで、参加者の半数にオキシトシンを鼻から吸い込むように指示。残りの半数にはプラセボを投与したうえで、男性には女性の写真を、女性には男性の写真を見せたんだそうな。ちなみに、それぞれの写真には、各男女がこれまでに浮気をしたことがあるかどうかが書かれたプロフィール文も掲載されていたとのこと。

 

 

でもって、みんなに「写真の男女とデートしたいですか?」と尋ねたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 男性の32%、女性の17%が、かつて浮気をしたことがある相手との短期間の交際に興味があると答えた。

 

  • オキシトシンを投与された男性は、プラセボを投与された男性に比べて、「浮気の経験がある女性と付き合いたい」と答える確率が増えた。

 

  • 女性には上と同じような作用は見られなかったが、オキシトシンを投与された女性は、「誠実な男性と長期的につきあいたい!」と答える確率が増えた。

 

ってことで、オキシトシンを投与されると、男性はより軽い女性を求めるようになり、女性はより真面目な男性を求めるようになるのではないか、と。

 

 

これを見ると、どうやらオキシトシンってのはシンプルな惚れ薬として機能するわけではなく、男女がもともと持っている性的な好みをさらにブーストする方向に働くと考えたほうが良さそうですね。となると、オキシトシンスプレーみたいな商品って、やっぱ買っても意味ないんでしょうな。

 

 

 

金がなない社会のほうが幸福?

「金なんてないほうが幸福なんじゃないか?」みたいなデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはバルセロナ自治大学などの研究でして、ソロモン諸島とバングラデシュという2つの国の幸福度をチェックしたんですよ。というのも、この2国は、一人あたりの所得が年間20万円ぐらいで、かなり貧しい地域として知られてるんですね。

 

 

そこでチームは、同じ国のなかでも、わりと裕福な都市部の住人と、かなり貧しい漁村部の住人にインタビューを実施。ぜんぶで678人の幸福度を数ヶ月にわたって調べ、両グループの違いを確認したんだそうな。

 

 

すると、おおよその結果はこんな感じになってます。

 

  • 裕福なエリアに住む人よりも、貧しいエリアに住む人のほうが、総じて幸福度は高かった。

 

  • 貧しいエリアで暮らす人の幸福度は、北欧諸国(幸福度ランキングの上位国)と同じレベルだった。

 

  • 貧しいエリアの人が幸福なのは、彼らがほとんど金を持たないせいで、それにまつわるストレスが少ないのが大きい可能性がある。

 

ってことで、統計では「ほとんど金を持たない暮らし」をする人たちのほうが、総じて幸せな傾向が見られたらしい。「金を持っても幸福は増えないぞ!」とはこれまでも何度か言われてきたことですけど、逆に金がないほうが幸福って報告はめずらしいですね。

 

 

まー、ただし、これは「金がないほうが幸福」って話ではなく、おそらく「全員が同じように貧しい社会ならみんな幸せ」ってことだと思われますので、注意したいところです。研究チームは「安全で健康的なコミュニティの中で自由な生活を楽しめれば、お金と幸福は関係がなくなるようだ」と言ってまして、まぁそうですよねーとか思いました。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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